臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

感情

1.感情とは 感情は、心的機能の基本をなすもので、快・不快を中心に直接体験される能動的・受動的な自我状態のことをいう。何かに反応して急激に生じる一過性の強い感情を情動といい、逆に持続的で軽度な感情状態を気分という。 感情:能動的あるいは受動的…

うつ状態とうつ病、その意味

1.うつの意味 精神分析的には、うつ病にぜい弱な自己愛や低い自尊心を想定する。罪悪感や自己卑下と関連する怒りや攻撃性、現実には存在し得ないような完璧な養育者像を求めるのも特徴的である。要求がましく完璧主義的な超自我が中心的な役割を演じ、同時…

意欲

1.意欲とは 意欲とは、生命や生活を維持するために必要な行動をする欲動と、欲動を統制する意志を含む概念で、人間を行動に駆り立てる低次なものから高次なものまで含む。欲動が減退すると、自発性や活動量が低下する。 (1)自発性欠乏 一般的に意欲の減退…

意識

1.意識とは 意識とは、自分の状態と周囲の状態を知っていること、それに気づいていることである。英語、フランス語ともにラテン語のcum(ともに)とscius (scireの過去分詞、知った)から合成されたconscius を語源とする。ラテン語自体にも、ともに知ると…

意志

1.意志とは 意志とは、ある行動を選択・実行することである。動因、動機、欲求などの行動を引き起こす内的な状態とほぼ同じ意味で用いられ、何かをしよう、何かをしたいという気持ちを表す。「意志」→「動因・動機・欲求」という流れ。 精神医学では、意志…

愛着

愛着(あいちゃく) 他の人と「情緒的に結びつきたい!」という欲求のこと。

アルコール中毒

1.アルコール中毒の特徴 アルコール中毒は、ICD-10 やDSM-5 において急性中毒のみに用いられる用語である。通常の酩酊状態とは異なり、意識水準、認知、知覚、感情、行動などに一過性の障害が生じる。「複雑酩酊」や「病的酩酊」に相当する状態である。 (1…

アルコール精神病

1.アルコール精神病の定義 実際のところ、アルコール精神病に定義はなく、アルコール依存に関連して生じる神経・精神障害の総称である。何でもあり。 (2)アルコール幻覚症 アルコール精神病の一つ(下位カテゴリー)で、アルコール依存症の人が多量の飲酒…

アルコール依存症

1.アルコール依存症の特徴 アルコールは、リラックスした気分や酩酊の心地よさ、人付き合いのツール、酒に伴う楽しい雰囲気などのために行われるが、いつしかそれが形骸化し、飲むことだけが目的になる。酒を飲まなければならないとの強迫観念に囚われ、不…

フェティシズム

1.フェティシズムの意味 母子関係に重大な問題があると、幼児は母親や移行対象によって自分自身を慰めることができず、「安心できるほどの強固な、たわまない、形の変わらない、信頼できるほど丈夫な」ものを必要とする。そうすることで、自分の身体を自分…

サディズムとマゾヒズム

1.サディズムの意味 サディズムとは、子ども時代の外傷体験を他人に強制することによって、復讐とともに克服した感覚を得ようとする試みである。自分が身体的・性的な虐待にあった小児期のシナリオを無意識的に再現させようとしていることが多い。 2.マゾ…

のぞき

1.のぞきの特徴 のぞきには、女性に対して秘密裏に攻撃し、征服したいとの願望が含まれている。 子どもが両親のセックスを目撃したり、立ち聞きしたりした際、去勢不安を引き起こし、受動的に体験した外傷体験を能動的に克服する試みとして、その行為を繰り…

公然わいせつ

1.公然わいせつの意味 自分の性器を見知らぬ女性や女児に見せつけることによって、自分自身が去勢されていないことを確認しようとする。被害者の不安と驚きは、去勢不安を癒やし、女性を支配する感覚をもたらす。その際、自分は価値のある男性としての感覚…

色々なうつ病

1.色々なうつ病 うつ病とされるものはたくさんある。使われている「うつ病」もあれば、すでに使われなくなった「うつ病」もある。 (1)心因性うつ病 心因性うつ病には、狭義の概念と広義の概念がある。狭義の概念は、もともとJ.ランゲが提唱したもので、①…

躁うつ病@気分障害

1.躁うつ病とは 躁うつ病は、統合失調症と並ぶ二大内因性精神病の一つである。躁状態やうつ状態という感情の障害が、はっきりとした周期を持って出現し、通常、経過後に人格欠陥を残さずに完全な回復に至る。以前は感情病といわれ、その両極性に注目して循…

うつ病@気分障害

1.うつ病 古代からメランコリーという名で知られている状態であり、うつ病の語源(depression)は、ラテン語のdepremere(抑える、低下される)である。もともとは、精神機能の減少や障害を表す概念として用いられた。E.クレペリンは、このうつ病を悲哀不安…

気分障害

1.気分障害の成り立ち 気分障害とは、従来の抑うつ神経症や躁うつ病、情動性人格異常など、抑うつや気分の高揚などの気分変化を主とするカテゴリーの総称として、1987年にDSM-Ⅲ-Rで用いられた疾病分類である。後にICD-10においても採用されることになった。…

統合失調症

1.はじめに 統合失調症は、発生頻度の高さ、病像の特異性、治療上の困難さなどから最も重視すべき病気である。にもかかわらず、身体的基盤については今のところ確実な知見が得られていない。その診断はもっぱら精神症状と経過を観察することによって行われ…

抗躁薬@気分安定薬

1.抗躁薬の特徴 抗躁薬とは気分安定化薬とも呼ばれ、躁病や双極性障害(躁うつ病)の躁状態に対して効果のある薬のことである。 躁病や双極性障害の症状がエスカレートすると、多額の金銭を浪費したり、万引したり、大言壮語したり、他人に横柄な態度を取っ…

抗不安薬@気分安定薬

1.抗不安薬の特徴 抗不安薬は、不安、緊張といった症状を緩和させる作用を持った向精神薬の一種である。統合失調症などに使用されるメジャートランキライザー(抗精神病薬)に比べて穏やかな作用を持つことから、抗不安薬はマイナートランキライザー(精神…

非定型@抗精神病薬

1.非定型抗精神病薬の特徴 非定型抗精神病薬は、いくつかの精神伝達物質に対してより選択的に働き、ドーパミン受容体遮断作用だけでなく、セロトニン受容体をはじめとする様々な受容体に遮断作用を持つのが特徴である。現在の抗精神病薬の主流。 従来の定型…

定型@抗精神病薬

1.定型抗精神病薬の特徴 定型抗精神病薬は、ドーパミン受容体遮断作用がメインの薬である。副作用は、めまい、過鎮静、眼球上転、眠気、口の渇き、遅発性ジスキネジア、脱力感、低血圧(立ちくらみ)、便秘、振戦、月経障害、性機能障害、排尿困難、ふらつ…

抗精神病薬の種類

1.抗精神病薬の特徴 抗精神病薬とは、その名の通り精神病に効くという薬の意味であり、統合失調症、非定型精神病、躁病、中毒性精神病といった障害に伴う幻覚や妄想、興奮を抑制する薬のことである。メジャートランキライザーとも呼ばれ、大きく定型抗精神…

バルビツール酸系@睡眠薬

1.バルビツール酸系の特徴 ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤が存在する現在にあって、致死量の低い古典的なバルビツール酸系をあえて処方する理由はほとんどない。とはいえ、非常に良く効く。 通常、安全性の高いベンゾジアゼピン系の睡眠薬が処方され、利か…

非ベンゾジアゼピン系@睡眠薬

1.非ベンゾジアゼピン系の特徴 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳内のベンゾジアゼピン受容体へ作用し、主にGABAの神経伝達を亢進することで催眠・鎮静作用を生じさせるものである。ベンゾジアゼピン系とは異なる化学構造であるにもかかわらず、薬理学的に…

ベンゾジアゼピン系@睡眠薬

1.ベンゾジアゼピン系の特徴 ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤は、過去に使用されてきたバルビツール系の薬物に比べると非常に安全性の高い薬物といわれている。これはベンゾジアゼピン系の薬物が脳内のGABA神経のみに作用し、他の神経に影響を与えることは…

睡眠薬の種類

1.睡眠薬の特徴 睡眠薬は、睡眠導入剤とも呼ばれ、睡眠障害(不眠症など)や睡眠が必要なときに用いられる薬の総称である。睡眠薬には、バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、シクロピロロン系、抗ヒスタミン薬などがあり、それぞれ…

抗うつ薬の種類 第一世代から第四世代まで

1.第一世代の抗うつ薬 三環系抗うつ薬(1950年代〜)。 古典的な薬で、自殺の手段に使える。1950年代後半にスイスの精神科医が偶然発見した。三環系という名称は、3つの環を持つ化学的構造に由来する。この薬は、神経伝達物質を作る細胞が、神経伝達物質を…

異常性格

1.異常性格(いじょうせいかく) 人格異常、人格障害(パーソナリティ・ディスオーダー)、精神病質、変質者、変わり者、精神不均衡などとほぼ同義で使われる言葉。パーソナリティ(人となり)の偏りが著しかったり、異常であったりする。 つまり、普通の人…

意思欠如者

1.意思欠如者(いしけつじょしゃ) 意志欠如者とは、シュナイダーの精神病質人格10類型の1つである。あらゆる刺激に対して無抵抗で、異常なほどに周囲の影響を受けやすい。そそのかされてばかりいる。いわば「変温性の環境人間」であり、良い影響も受けやす…