臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

好訴者

1.好訴者(こうそしゃ) 好訴者とは、もともと活動性の高さを背景に、権利侵害など何らかの屈辱的な出来事が引き金となり、その後の人生のすべてを訴訟と闘争に捧げようとする人のことである。独善的な正義感に基づいて、ひたすら告発・訴訟・闘争などを展…

無力者

1.無力者(むりょくしゃ) K.シュナイダーの精神病質人格類型の一つ。無力者は、自分自身のことを全く信じていないため、些細な身体の変化を過度に気にしやすく、結果、何かと気疲れしがちで、楽しみを感じることができない。身体的・心理的なストレスに敏…

敏感者

1.敏感者(びんかんしゃ) E.クレッチマーによると、敏感者とは、強い感受性を持つものの、感じ取ったものに縛られて適切に処理できない人である。また、無力感を抱く一方、高い理想自我を備えているため、罪悪感や屈辱感を抱きやすい。敏感関係妄想にまで…

常習(慣習)犯罪者

1.常習(慣習)犯罪者(じょうしゅうはんざいしゃ) 犯罪が常習(慣習)となっている犯罪性の進んだ犯罪者の一類型。ヴァールベルクによって提唱され、アシャッフェンブルクによって、その犯罪者分類(偶発殺人、激情犯人、機会犯人、予謀犯人、累犯者、慣…

偶発犯罪者

偶発犯罪者(ぐうはつはんざいしゃ) 不注意または過失によって、犯罪を起こすことになったもの。この場合、機会犯罪者と同様、一時的なものであるが故意ではない。たまたまそうなってしまった系の犯罪である。交通犯などに見られることが多い。

機会犯罪者

1.機会犯罪者(きかいはんざいしゃ) ワークベルクによって提唱された概念。目の前のせつな的な誘惑に魅せられて犯罪に及ぶものをいう。激情犯罪者、偶発犯罪者と並んでF.V.リストのいう瞬間犯罪者に属するが、情緒的な興奮がほとんどない点で激情犯罪者と…

放火犯

1.火の魅力 火は人間に興奮を呼び覚ますものであり、火を見て興奮するのは万人に共通する感覚である。「家事と喧嘩は江戸の華」という言葉もある。柳田国男の「火の昔」には、過去の日本人にとって火がいかに喜ばしく、美しいものであったかについて考察さ…

暴走族

1.過去の遺物「暴走族」 1980~90年代、高度成長期のまっただ中の社会は、子どもに勉強ができる「良い子」や受験の勝利者、社会の要求に応えて結果を出す若者を一方的に要求した。それだけにそれに応じられない子どもにとって、社会は極めて冷酷で不寛容、…

殺人

1.殺人の類型 生命犯とは、殺人などの犯罪を行ったものである。主なタイプは下記の通り。 (1)激情殺人 けんか、口論など、その場の状況によって怒りの感情が制御できなくなり、殺人に及ぶ。被害者は見ず知らずの人で、たまたま居合わせた場合が多い。 (2…

強盗

1. 強盗の特徴 強盗は、他の犯罪と比べると格段に自己露呈的な犯罪で、発覚しやすく捕まりやすいものである。金銭を奪う犯罪としては、あまりに短絡的・非効率的といえよう。実際、集団にせよ単独にせよ、強盗の多くは無鉄砲な形で短絡的に行われることが多…

援助交際・売春

1.援助交際・売春の意味 いわゆる身を売るといった意識は低い。性役割意識の偏りやルーズさ、援助交際や売春を通さなければ、自分の存在価値を確認できない空虚感と無力感が背景にうかがえる。

小児性愛(ロリコン)

1.小児性愛(ロリコン)の意味 成人女性への気後れから、支配できそうな子どもを性的な対象とする。圧倒的な劣等感が渦巻き、パーソナリティの偏りも著しいが、その自覚がないところに病理の重さがうかがえる。自分が「終わっている」ことに目が向かない。 …

下着盗

1.下着盗の意味 下着盗をする性犯罪者は、自分に自信がなく、劣等感を根付かせ、女性への積極的な関わりから逃げ続けている。下着は女性やセックスの代償であり、自ら奪い取ったことに価値を見出している。 下着になら安心することができる。

レイプ(強姦、強制性交など)

1.レイプ(強姦、強制性交など)の意味 過去の研究では、自分自身の男性性について悩み、女性を誘惑するもの、奪うもの、危険なものであると見なす傾向が指摘されてきた。女性をおそるべきものと見るか、弱小のものと見るかの間に葛藤を生じさせ、女性を攻…

性犯罪

1.性犯罪の定義 性犯罪とは、レイプ(強姦や強制性交など)や強制わいせつ(レイプまではいかないわいせつ行為)などの性的な刺激を求めた犯罪のことである。子どものときに性的虐待と身体的虐待又は精神的虐待を受けたことが多いとされる。 2.性犯罪の意…

粗暴犯

1.暴力の起源と意味 粗暴犯とは、直接的な暴力によって他人に損害を与えた犯罪者のことである。主に暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合の罪を犯した者を指す。フロイトは「トーテムとタブー」の中で、ある原始部族の成り立ちの神話について次のように述…

アヘン型@依存性薬物

1.アヘン型薬物の特徴 中枢作用:抑制 精神依存:+++ 身体依存:+++ 耐 性:+++ 代表的なものは、アヘン、モルヒネ、ヘロイン、コデインなど。極めて抑うつ的で、無常の喜びへと引きこもる。その背景には、無価値感、罪悪感、超自我、恥の感情にも…

幻覚剤型@依存性薬物

1.幻覚剤型薬物の特徴 中枢作用:興奮 精神依存:+- 身体依存:- 耐 性:+ 代表的なものは、LSD、メスカリンなど。LSDは現在知られている向精神物質の中で最も強力なものの1つで、極めて微量でもその効果を発揮する。体内での吸収率は100%と非常に高い…

コカイン型@依存性薬物

1.コカイン型薬物の特徴 中枢作用:興奮 精神依存:+++ 身体依存:- 耐 性:- 代表的なものは、コカイン。昔のコカ・コーラ。精神依存があり、最も乱用されている薬物の一つ。最も精神障害者との合併率が最も高い。 2.コカインの特徴 日本での流通が…

大麻型@依存性薬物

1.大麻型薬物の特徴 中枢作用:抑制 精神依存:+ 身体依存:- 耐 性:- 代表的なものは、大麻など。合理化(=言い訳)が働きやすいオーガニック系薬物。大麻が違法な国と違法でない国がある。 2.大麻の歴史と特徴 大麻の向精神作用は古来から多くの民…

有機溶剤(シンナー)型@依存性薬物

1.有機溶剤型薬物の特徴 中枢作用:抑制 精神依存:+ 身体依存:+ 耐 性:+- 代表的なものは、トルエンやアセトンなど。シンナーに含まれる有機溶剤には、中枢神経麻痺作用がある。特にトルエンはこの作用が強く、気化した蒸気を吸引すると即座に酩酊状…

覚醒剤型@依存性薬物

1.覚醒剤型薬物の特徴 中枢作用:興奮 精神依存:+++ 身体依存:- 耐 性:+++ 代表的なものは、アンフェタミンやメタンフェタミンなどであり、覚醒亢進と食欲減退をもたらすのが特徴である。薬の効果は12時間以上も続き、多量に摂取すると暴力的行為…

薬物使用の生理的機序

1.覚醒剤などの薬物を使うと身体に何が起きるのか 薬物依存の発症要因は、薬物乱用による脳内神経系の異常であり、乱用する薬物によって受容体が多少異なるものの、基本的には脳内報酬系と呼ばれる中枢の腹側被蓋野から辺縁系、特に側坐核に至るA10神経系に…

侵入盗(事務所荒らし)

1.侵入盗・空き巣・事務所荒らしの意味 事務所に盗みに入る窃盗を侵入盗という。運が良ければ大金を得ることができる。とはいえ、身体能力が必要なので、年を取るにともなって万引きに移行することが多い。衝動的に行われることはないが、かといってテレビ…

万引き

1.万引きの意味 万引きは、初発型犯罪・高齢者犯罪の典型とされ、非行性・犯罪性の進んでいない人による機会的なもの、又は体力的な衰えのある高齢者の常習的なものが多いとされる。程度は軽く動機や意味に関して、精神的または物質的な欠乏・欠損が、単独…

家出

1.家出の意味 財産犯の準備段階の1つ。家出とは、ひそかに家を抜け出すことである。家出には、不快な状況から逃げ出したい気持ちと、隠れん坊をして「本当」の自分を見つけてほしいという2つの思いを併存させている。自分の存在や愛情を確認する意味が大き…

財産犯

1.財産犯とは 財産犯とは、他の人の金銭や持ちものを盗んだり(窃盗)、だまし盗ったり(詐欺)する犯罪のことである。他人を殴って奪ったりはしない(この場合は、粗暴犯という)。目的「財産」のみに焦点づけられていることから財産犯と呼ばれる。 聖アウ…

はじめに

大学院を終了後、スーパーヴィジョンを受けながら心理療法を行い、やがてスーパーヴィジョンをするようになりました。そんな中で、そろそろ自分が学んできた心理学について、自由に書いてみたいという「欲」が出てきました。このサイトは、それを形にしたも…