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精神分析

オクノフィリアとフィロバティズム

1.オクノフィリアとフィロバティズム バリントが、前エディプス期の対象関係の障害に対するポジションの2つをオクノフィリアとフィロバティズムという言葉で定義つけた。 (1)オクノフィリア オクノフィリアとは、成長の過程で見出される重要な対象にしが…

抑制

1.抑制とは 抑圧と区別され、観念や感情などの意識内容を意識的に「意識」から「前意識」に押し込めようとする心的な活動のことをいう。それゆえ、一度抑制されたとしても、再び意識化することはできる。なお、抑圧は無意識的に働き、意識的な意識化はでき…

抑圧

1.抑圧とは 抑圧は、フロイトによって一番最初に明らかにされた自我の基本的な防衛機制の一つ。受け入れがたい観念や記憶、それに伴う情動や衝動を意識から追い出し、無意識の中に閉じ込めておこうとする自我の活動であり、それ自体、無意識的に働くという…

分裂

1.分裂とは 人間の発達過程で、抑圧が可能になるのはエディプス期(4~5歳)以降であるが、分裂は、1歳前後の乳児において活発に働く原始防衛機制の一つである。対象や自己それぞれについて、欲求充足的な側面(良い対象、和良い乳房)と攻撃的・欲求不満的…

否認

1.否認とは 否認とは、知覚しながらもその存在を認知すると、不快、不安、恐怖などを引き起こすような現実や自分自身を、そもそも認知しないようにすること。防衛機制の一つ。しばしば否認は、抑圧と対比されるが、抑圧が内的な情動や欲動を意識から排除す…

反動形成

1.反動形成とは 反動形成とは、自分にとって許しがたい衝動が起こったときに、その衝動とは真逆の態度を取ることで対峙しようとすること。防衛機制の一つ。当初、抑圧によって対処しようとするが、どうにもならないため、真逆に舵を切ることで補強しようと…

取り入れ

1.取り入れ(摂取)とは 対象の属性を取り入れて、自らのものとすること。投影が生物学的に異化に例えられるのに対して、取り入れは同化、すなわち自己の一部とする現象に例えられる。防衛機制の一つ。

投影

1.投影とは 投影とは、自分の本能・衝動・情緒・観念・表象などを外在化して、自分とは別の対象に属するものとして知覚する規制である。防衛機制の一つで、取り入れが同化にたとえられるのに対して、投影は異化や吐き出しに相当する。つまり、自分の内に留…

同一化

1.同一化とは 自己と対象の境界が曖昧になる認識のあり方と、取り入れの機制を介して、自己が対象の持つ属性を獲得するプロセス。防衛機制の一つ。 要するに、相手になりきることで、無力で、惨めな自分を覆い隠そうとする。

昇華

1.昇華とは 原始的な対象備給が禁止される場合、性的・原始的な満足以外の目的、つまり文化的・社会的に有用で、より創造的な目的に転換されることになり、これを昇華という。防衛機制の一つで、「成功した防衛」といわれる。 要するに、正攻法で乗り切るこ…

躁的防衛

1.躁的防衛とは 躁的防衛とは、空白の時間を埋めるため忙しく動き回ること。防衛機制の一つ。 万能感を喪失するのではなく、万能感を自らが放棄するととらえ直すのが抑うつポジションの進展といえるが、これらの抑うつ不安を打ち消し、万能な自分がいるとい…

打ち消し

1.打ち消しとは 打ち消しとは、既に行われた行為や意識された考えに伴う特定の情動を、正反対の情動的意味を持つ行為や考えによって打ち消そうとする「つぐない」と「やり直し」の心理規制である。防衛機制の一つ。この打ち消される行為や考えは、常に超自…

合理化

1.合理化とは 自分の取った行動や態度や考えに対して、論理的に妥当な、あるいは倫理的に非難されない説明をつけ、それによって不安を起こさずに自分の望む言動を達成しようとする試み。防衛機制の一つ。 知的活動を要するにもかかわらず、知性化や昇華と異…

防衛機制

1.防衛機制とは フロイトによって明らかにされた精神分析の中心的理論概念の一つ。主観的・意識的な安定を保つ無意識的な自我の働きを目的とする心理機制のことで、意識することによって、不安、不快、苦痛、罪悪感、恥などを体験するような情動や欲動を意…

寄る辺なさ

1.寄る辺なさとは フロイトが乳児の無力さを示すために用いた言葉である。自らの飢えや渇きを満足させるために、他者や環境に全面的に依存しなければならない状態を指す。

欲動

1.欲動(drive)とは フロイトに定義された精神分析的な概念。「心的なものと身体的なものとの間の境界概念」などといわれ、「精神生活に表現される身体的な欲求」とされている。「本能」と訳されることもあるが、生物学的な本能の心理学的な欲求の形での表…

家族ロマンス

1.家族ロマンスとは 本当は「自分は捨て子だった。」、「自分の両親は本当の両親ではなく、自分は高貴な生まれだった。」といった両親との間柄について抱く空想について、フロイトが名付けた呼び名。フロイトは、ランクの「神話と英雄の誕生」(1909)の中…

アクティングイン

1.アクティングインとは 精神分析の治療場面で生じる行動化のこと。言葉の交流が行われているように見えても、実際は内的な対象関係が実演されている状態を指す。転移状況で惹起され、抵抗としての側面と関わりとしての側面がある。レニックは、アクティン…

リビドー

1.リビドーとは リビドーは、フロイトが用いた性的エネルギーの概念である。人間に生得的に備わった本能エネルギーで、発達とともに成熟する。フロイトの幼児性欲論によると、リビドー発達は口唇期、肛門期、エディプス期、性器期へと発展するが、それぞれ…

精神分析の性格類型

1.精神分析の性格類型とは 2.口唇性格 アブラハムによって明らかにされた性格で、口唇期への固着が強く、口唇に発する特徴的な性格傾向のこと。依存的で、愛情欲求を抱き他者からの愛情を手に入れるためには喜んで自分自身を犠牲にする。あるいは、愛して…