臨床心理学にいる

学問としての臨床心理学や犯罪心理学について、日々徒然と書いているサイトです。

不安とは

不安



f:id:nutshell:20201008220848p:plain:w300

恐怖は、それを喚起するはっきりとした外的な対象が存在する感情である。その一方、不安は、漠然とした怖れの感情である。とりとめもなく、どうにもならない困惑や焦燥そのものであるといえるかもしれない。K.ゴールドスティンは、破局的な状況が迫った際、人が味わう主観的な体験と定義している。不安は多少とも身体的表出を伴い、動悸、発汗などから瞳孔拡大に至るさまざまな自律神経症状を呈する。

不安は、人間にとって避けることのできない心理的な現象であり、自分を守るために必要なシグナルとして有効であるが、これが過剰になり、止めどなく溢れ出すようになると病的不安と呼ばれるようになる。病的不安は、重いうつ状態に現れる焦燥型の不安や不安神経症にみられるパニック障害、欲求不満や内的葛藤から生じる心理的な水準の不安まで幅広い。

神経症と不安との関係を追求し、不安を神経症の中心と位置づけたのはS.フロイトである。以降、神経症は不安を回避するために作られた過剰な防衛機制に由来すると説明されることになる。

春日(2018)は、不安について、人間における根源的な無力感や絶望感が無意識の領域からただよい出た際の、その独特な感触に対する呼称と考えても良いかもしれないと述べる。


私家版 精神医学事典

私家版 精神医学事典

  • 作者:春日武彦
  • 発売日: 2017/08/22
  • メディア: 単行本


心理学用語 好訴者とは

好訴者(こうそしゃ)


もともと活動性の高さを背景に、権利侵害など何らかの屈辱的な出来事が引き金となり、その後の人生のすべてを訴訟と闘争に捧げようとする人のこと。独善的な正義感に基づいて、ひたすら告発・訴訟・闘争などを展開する。E.クレペリンは、本物の好訴者と仮性の好訴者(抗争者)を区別し、E.クレッチマーは好訴者を増長した誇大性と捉えた。

好訴者は、通常、精神病質的な人格の延長にあると位置づけられており、統合失調症や躁病、妄想性障害などが時折示す好訴性は「症候性好訴妄想」として区別される。

奪われ、傷つけられた現実に理不尽さと被害感を強めて、その払しょくを求め続けている。

心理学用語 無力者とは

無力者(むりょくしゃ)


K.シュナイダーの精神病質人格類型の一つ。無力者は、自分自身のことを全く信じていないため、些細な身体の変化を過度に気にしやすく、結果、何かと気疲れしがちで、楽しみを感じることができない。身体的・心理的なストレスに敏感。

無力者の中には、心身症型のタイプ(心理的な理由によって多彩な身体的障害を起こす)と神経衰弱型のタイプ(過度な自己観察の結果、疲れすぎてしまう)がある。

無力感・不信感が自分に向けられ、何かと気にしいで、勝手に疲へいしがち。自分のことにいっぱいいっぱい。生きづらい。