臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてのあれこれ

意志薄弱と意志欠如(者)


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1.意志薄弱

意志薄弱とは、環境の影響を異常に受けやすい傾向のことである。シュナイダーの意志欠如とほぼ同じ意味か、それよりは軽い程度とされる。意志の発動性と持続性が弱いため、主体性や自主性に欠け、周囲の影響を受けてころころと態度を変えやすい。手の平を返すことにも抵抗がなく、信用おけない。言うまでもなく、良い影響よりも、安易で欲求充足的な影響を受ける。ブロイラーは、意志薄弱を変温動物に例えている。

こうしたいとか、こうしようというのがほとんどないので、誘われるとほいほいとついていく。自分ではどうすることもできないとの思いに支配され、そうそうにすべてを諦めているのかもしれない。

2.意志欠如(者)

意志欠如者とは、シュナイダーの精神病質人格10類型の1つである。あらゆる刺激に対して無抵抗で、異常なほどに周囲の影響を受けやすい。そそのかされてばかりいる。いわば「変温性の環境人間」であり、良い影響も受けやすいが、その枠組がなくなるとそれもなくなり、再びその瞬間の影響を受けて流されることになる。一応、失敗すれば後悔をする振りをするが、それが長続きすることはない。

こうしたいとか、こうしようというのが存在せず、ただただ流されている自分に親和している。自分のことを無力で、無価値と思っているのかもしれない。


意志と意志欠如


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1.意志

意志とは、ある行動を選択・実行することである。動因、動機、欲求などの行動を引き起こす内的な状態とほぼ同じ意味で用いられ、何かをしよう、これをしたいという気持ちを表す。精神医学では、意志を動因の上に立ってそれを方向づけるものと定義されている。意志+動因=意欲である。なお、その意志や意欲の障害として、

1.制止
意志の表出が緩慢になる。

2.途絶
感情の表出が突然中断すること。

3.混迷
意欲が極端に乏しくなり、全く動かない状態になること。

などがある。要するに「こうしよう。」と思って動き始めることである。

2.意志欠如

人間の精神活動を知性、感情、意志の3領域に区分した場合、意志の機能が障害された状態である。ここでの意志とは、意識された目標に対して行動や態度を決定していくことで、意志欠如は意志決定の不能ともいえる。古くから意志亢進、意志薄弱、意志欠如または無為などに分類されてきた。

1.無為
統合失調症において、発動性の低下によって生じる行動の減退のこと。だらだらと続く。軽いものは意志低下という。

2.途絶
幻覚などの病的体験に支配されて、意志の働きが突然妨げられるようになった状態のこと。

3.抑制
うつ病などをきっかけに行動・思考の流れが止まった状態のこと。


アルコール妄想症


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1.アルコール妄想症

アルコール妄想症とは、アルコール依存症に見られる慢性妄想のことである。慢性妄想は、①解釈妄想と②幻覚妄想に分けられる。

(1)解釈妄想

解釈妄想は、出来事に対する妄想的な解釈で、アルコールの場合は特定の対象にのみ妄想が生じる嫉妬妄想の形を取ることが多い。嫉妬に関連した言動以外に、問題はほとんど生じない。クラフト・エービングは、アルコールは性衝動を高める一方、性機能を低下させるために性的な満足感を得られず、それが嫉妬につながり、配偶者との不仲やセックスレスが続くと病的な嫉妬に発展するという。

(2)幻覚妄想

幻覚妄想は、クレペリンが「飲酒者の幻覚性妄想症」と述べたもので、幻視や幻聴はあるものの、幻聴の内容に反応的に行動することはない。妄想は嫉妬がテーマであるが、それ以外のものも生じる。