臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

抵抗

1.抵抗とは 抵抗は、洞察と変化をもたらそうとする治療者の関わりに反して、そのままの状態を保ちたいという患者の願望にかかわっている。意識的・無意識的であり、共通して怒り、罪悪感、憎しみ、愛、羨望、恥、悲哀、不安など、不快な感情を避けるための…

転移

1.転移とは 転移とは、本来は過去の特に子ども時代に重要な人物、両親などに対して体験した感情、思考、行動、態度を今の人間関係のある人物に置き換えることである。それゆえ、今の対象(相手)にとっては、不合理な内容の感情、思考、行動、態度といえる…

退行

1.退行とは ある時点において、それまでに発達した状態や機能あるいは体制が、それ以前のより低次の状態や機能ないし体制に逆戻りすることをいう。大人が子どもになる。

神経症

1.神経症とは 神経症とは、心因性に生じる心身の機能障害で、器質的なものによるものではなく、特有の症候群や状態像を示し、精神病、心身症、パーソナリティ障害などとは違うことで診断される。 もともとはカレンが、現在よりも遙かに広い概念として提唱し…

迷信

迷信(めいしん) 迷信とは、人類の歴史において古くから伝えられてきた俗言の一種。人間の理性やその時代の思想や常識では説明できず、実際の日常生活に厄介な実害を伴うことが多い。

舌がたり

舌がたり(したがたり) 宗教的な神がかりによって神の言葉を自分の口で語る現象のことをいう。本来自己の所属である思考が、自己の統制を離れて働く自我障害の一つ。いわゆるヒステリー。

悟り体験

悟り体験(さとりたいけん) 悟り体験とは、至福や啓示の強い感情が急激にわき上がる体験のこと。レオンハルトが非定型精神病で取り上げた不安・恍惚精神病の恍惚性の症状で見られる。非合理的な観念を語り、統合失調症などにも見られる。

回心

回心( かいしん) 回心という言葉は「向きを代える。」、「本来あるべきもとの状態に帰る。」という意味を持つ。もともとの意味は、これまでの自己中心的な行き方を悔い改めて、キリスト教の神を中心とする生き方に鞍替えし、他者に仕える行き方をするよう…

シュナイダーの精神病質人格類型

シュナイダーの精神病質人格類型 1.狂信者 熱狂者と訳すこともある。その特徴は、思想と行動全般の中で支配観念が際立った優位性を示し、社会に認めさせるために熱狂的・徹底的に動き回ることにある。その際、個人的欲望や自分の生活、家族などには一切目を…

クレッチマーの性格分類

クレッチマーの性格分類 1.循環気質 太り型の体型に、循環病質にみられる気質を認めることができる。クレッチマーは、おしゃえりな陽気もの、もの静かな情の人、のんきな享楽者、精力的な実務家などをあげている。 2.敏感者(敏感性性格) 強い感受性を持…

クレペリンの精神病質人格障害

クレペリンの精神病質人格障害 1.虚言者 以前は「病的虚言」といわれていたもので、クレペリンは「虚偽及び欺瞞」をいう行動をとらえて一類型とした。デルブリックの「空想虚言」と全く同じ概念である。虚言者は、異常に活発な空想を抱き、その空想に熱中し…

自殺

1.自殺とは (1)アノミー デュルケムは、「自殺論」において、自殺の原因は個の要因よりも、まず社会的要因こそが重要であると述べた。社会には一定の自殺を引き起こす傾向があり、それは個人の動機からというよりは、社会的原因に大きく依存しているとい…

思考

1.思考とは …。(後日記載) (1)思考障害 …。(故実記載) (2)思考錯乱 思考過程に連続性と統一性が欠け、全体としてまとまりがないものを支離滅裂というが、意識混濁があって支離滅裂が生じている場合を思考錯乱という。症状精神病に見られる。 (3)…

自我と自己

1.自我とは 自我はフロイトが用いたIchの訳語で、直訳すると自分、私、自我などの意味を含んでいる。要するに「私」のことを意味するが、この場合の「私」は、主人公である「私」こそが全てで、それ以外の物事はほとんど関係がない(興味がない)という立ち…

興奮

1.興奮とは 急激に気持ちが高ぶり、押さえられなくなること。精神医学では、興奮状態を精神運動興奮といい、激しく統制できない運動が過剰に現れる状態をいう。このとき急激な情動や自律神経系の変化、覚醒水準や欲求の亢進、統制の低下などを伴う。

攻撃性

1.攻撃性とは 攻撃性には、いくつかの概念が組み合わされている。 ①攻撃行動。怒り、敵意、憎しみ、恨み、不満などにもとづいて、他人、自分、その他の対象に重大な暴力や死、苦痛、恐怖などをもたらす行動。身体的攻撃と言語的な攻撃に分けられる。 ②攻撃…

行動

1.行動とは 行動は、快・苦痛原則に基づく「一次過程」であるという。フロイトは「増大した刺激の運動による放出」といい、クライン・ビオン風にいうなら、万能空想としての投影同一化による苦痛の排出としての行為・行動が想定される。

幻覚

1.幻覚とは 知覚としては体験されるものの、実際はその対象が存在しない心的現象を剌す。エスキロールは、「対象なき知覚」と表現し、あくまでも「知覚」という形態を取った何らかの障害と考えられる。 (1)幻聴 聴覚性の幻覚。単純な音の幻聴である①要素…

恐怖症

1.恐怖症とは 恐怖症とは、たいして危険でも脅威でもないはずの対象や状況に対して、不釣り合いなほどに激しい恐怖を覚え、理屈に合わないとわかっていても、恐怖に駆られてその対象や状況を回避しようとする病的な恐怖のことである。非合理的で、抵抗でき…

解離

1.解離とは 解離が意味しているのは、知覚、記憶、同 一性、そして意識を統合することの失敗である。解離によっては、人々が無力感を体験し、身体へのコントロールを失ったとしても、心理的にはコントロールできているとの錯覚を維持することが可能になる。…

強迫

1.強迫とは 強迫とは、無意味で、非合理と判断される思考や行動が、支配的になってやめられないこと。やめたくても、やめられない。 (1)強迫観念 たえず心を占め、意識して取り除こうとしてもそれができない観念のこと。妄想とは、その非合理性を理解して…

欲求

1.欲求 欲求は、渇き、飢え、眠気などが、現実の特定の働きによって緊張が緩和される生物学的な次元のものである。 (1)欲求不満 何らかの妨害によって欲求満足を阻止されている状態のこと。フラストレーションともいう。

愛情

1.愛情 フロイトは、「愛情とは対象の再発見である。」という。つまり、全ての愛情は幼児期の愛の再現といえる。なお、最初の愛は同一化として体験され、対象と自己との区別のつかない愛情の在り方から出発するとした。

気分

1.気分とは 気分は、精神生活を彩りながらある程度持続する感情状態のことである。意識に上ることのない気分の変化があり、今日はいい気分(→意欲は高まり、楽観的)となったり、今日は嫌な気分(→意欲は低下し、悲観的)となったりする。 (1)気分変調 気…

欲望

1.欲望とは 願望とも訳される。フロイトによれば、欲望とは、記憶に刻み込まれた肯定的な体験を再現しようとする試みであり、「夢は欲望の充足である。」という。欲望は欲求と要求の間に位置づけられるもので、現実的な満足感を得られるものではないが、か…

衝動

1.衝動とは 衝動とは、突然、行為や行動を触発されるような基本的な原動力をいう。この原動力はしばしば自覚されない。精神分析的には、衝動は本能に関係し、その源は身体過程に基づくとされる。なお、主体的な自我により意識されたり、体験されたりして意…

羨望

1.羨望とは 羨望とは、うらやましく思う気持ち。嫉妬が三者関係の中で競争者を排除し、自分が愛する対象を獲得したいという欲求から生じるものであるのに対し、羨望は二者関係で生じるもので、対象の持つものを自分のものにしたいという点で区別される。 対…

嫉妬

1.嫉妬とは 嫉妬は、少なくとも3者間系の中で自分のものだと感じていた愛情が奪われるか、奪われる可能性があると感じることである。自分以外の人が、望ましいものを我がものとし、それを楽しんでいることへの怒りの感情である羨望(2 者関係)とは区別され…

罪悪感

1.罪悪感とは 罪悪感とは、倫理、道徳、宗教的な戒律から非難されて当然と考えるような行為をしたときに生じる感情のことである。些細な過失や怠慢に基づく不合理な自責感のほかに、具体的な行為がないにもかかわらず、自分は無価値で罪深い人間であると思…

情動

1.情動とは 驚愕、激怒、喜び、恍惚、憎悪など、急激に生じる身体不随現象を伴う一過性の強い感情であり、身体変化として客観的にとらえることができる。情動の異常としては、情動不安定や情動失禁、情動麻痺、病的興奮などがある。ブロイラーのいう「情動…