臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

抗躁薬@気分安定薬

1.抗躁薬の特徴



 抗躁薬とは気分安定化薬とも呼ばれ、躁病や双極性障害(躁うつ病)の躁状態に対して効果のある薬のことである。

 躁病や双極性障害の症状がエスカレートすると、多額の金銭を浪費したり、万引したり、大言壮語したり、他人に横柄な態度を取ったりと問題行動ばかりが多くなり、周囲への負担も非常に大きくなる。このような躁状態を沈静化してくれるのが抗躁薬である。現在、日本において主に処方されているのは炭酸リチウムとバルプロ酸ナトリウムの2種類である。

 気分の変調を是正するために投与した抗うつ薬を「補強する薬剤」、または「維持期の再燃を予防するための薬剤」といえよう。

2.薬の種類

A.総称名テグレトール、一般名カルバマゼピン

 非常に多彩な適応効能を持つ薬剤。基本的には抗てんかん薬で、重篤な副作用に注意。

B.総称名デパケン、総称名セレニカ、一般名バルプロ酸ナトリウム

 もともとは抗てんかん薬で、古くから気分安定薬として使われてきた。外傷性てんかんの発作防止のためにも使われる。デパケンは、急速交代型や躁うつ混合状態のような躁状態に有効であるとされる。

C.総称名リーマス、一般名炭酸リチウム

 作用機序は不明。もともとオーストリアの研究者が尿酸の毒性を強める研究を行っていたところ、モルモットにリチウムを注射すると落ち着いた行動を見せるようになったことから発見された。リーマスは、高揚感や万能感といった典型的な躁状態に有効であるとされる一方、強い毒物で、その治療域と中毒域がきわめて近いという欠点を持っている。