臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

2022-01-01から1年間の記事一覧

ジークムント・フロイト

1.ジークムント・フロイト 私は善悪についてそれほど頭を抱えたことはありませんが、人々の中に「善」を見出したこともありません。私の経験では、善や倫理観をうたっていたとしても、多くの人間はクズのようなものです。 ジークムント・フロイト、オスカー…

オクノフィリアとフィロバティズム

1.オクノフィリアとフィロバティズム バリントが、前エディプス期の対象関係の障害に対するポジションの2つをオクノフィリアとフィロバティズムという言葉で定義つけた。 (1)オクノフィリア オクノフィリアとは、成長の過程で見出される重要な対象にしが…

演技性パーソナリティ障害

1.演技性パーソナリティ障害とは 演技性パーソナリティ障害は、過度に情緒的で、周囲の注目や関心を要求する行動様式によって特徴づけられる。もともとDSM-2において「ヒステリー神経症」と「ヒステリー性パーソナリティ」の2つに分けられていたが、従来の…

依存性パーソナリティ障害

1.依存性パーソナリティ障害とは 世話をされたいという過剰な欲求のため、従属的な振る舞いでしがみつき、分離に対する強い不安を抱いているパーソナリティ障害である。過剰な助言や補償がなければなかなか自分で決められない。終始、他人の指示に従おうと…

境界性パーソナリティ障害

1.境界性パーソナリティ障害とは 境界性パーソナリティ障害は、愛情を際限なく求め続け、暴力的なやり方を用いても自分の欲求の充足しようとする障害である。100%の愛情を常に求める。空虚で、耐えがたい愛情飢餓的な感覚に基づく行為といえるが、それは巧…

反社会性パーソナリティ障害

1.反社会性パーソナリティ障害とは 破壊性・攻撃性が前面に出てくるパーソナリティ障害が、反社会性パーソナリティ障害である。攻撃性と破壊性は、倒錯的に理想化される。現実的な自我は、病理構造体にからみとられ、本来備わっているはずの超自我や倫理観は…

自己愛性パーソナリティ障害

1.自己愛性パーソナリティ障害とは 万能感が中心的な病理を示し、自己の万能感や誇大性、優越感を必要以上に誇示し、対象を支配しようとするのが自己愛性パーソナリティ障害である。理想化された対象と合体することで、自己愛的な充足に浸り、対象との関係…

回避性パーソナリティ障害

1.回避性パーソナリティ障害とは 引きこもりという病理は、シソイド・パーソナリティ障害に共通するものの、回避性パーソナリティ障害の場合、抱えている不安・苦痛が、シソイド・パーソナリティ障害のような迫害不安や精神病理による不安ではなく、抑うつ…

シゾイドパーソナリティ障害

1.シゾイドパーソナリティ障害とは シゾイドパーソナリティ障害は、現実の不安や苦痛、抑うつ等に耐えられないときにそそくさとシェルターとして病理構造体に引きこもろうとするパーソナリティのことである。病理構造体によって、妄想・分裂ポジションや精…

パーソナリティ障害の本質

1.パーソナリティ障害とは 松木(2016)は、パーソナリティ障害について下記のように述べる。 パーソナリティ障害は、行動の病である。その人の心に抱かれた不安や悲しみ、苦悩、葛藤をこころに置いておき、それに持ちこたえてその含みを考え続けることをや…

離人症

1.離人症とは 「自分がいる感じがしない。」といった自我機能の障害や、「外にあるものが全然ピンとこない。」、「そこにある感じがしない。」といった対象意識の障害、「自分の身体が自分ものでない感じがする。」といった身体意識面の障害を、主観的に体…

心的外傷と心的外傷後ストレス障害

1.心的外傷とは 心的外傷とは、個人に、自我が対応できないほどの強い刺激的な体験が与えられることをいう。客観的現実の出来事が原因になることもあるが、心的外傷という場合、個人の主観的な体験がより重要視される。もともと心的外傷という概念は、フロ…

ミュンヒハウゼン症候群

1.ミュンヒハウゼン症候群とは アッシャーが、ほら吹き男爵とも呼ばれるミュンヒハウゼン男爵にちなんで名付けられた症候群。各地を転々としながら多数の病院に入退院を繰り返し、虚偽の多い劇的な症状や生活史を述べる患者の総称で、虚偽性障害、空想虚言…

祈祷性精神病

1.祈祷性精神病とは 森田正馬(1915)が「祈祷性精神症」と命名したもので、平常憑依、神罰、精神感通等の迷信を抱く患者に、祈祷もしくは類似した原因をきっかけに起こる一種の自己暗示性の精神異常定型で、錯乱状態、混迷状態、人格変容状態の3つに分類さ…

妄想

1.妄想とは 古くは仏教語で「もうぞう」といい、「妄(みだり)なる想像(おもい)。」を意味したが、徐々に一般的な言葉として用いられるようになった。病的に誤った判断や観念で、妄想観念と同義である。ヤスパースによると、①並々ならぬ確信を持つこと、…

妄想性障害

1.妄想性障害とは 妄想性障害は、一般的にパラノイアという表現が用いられる。系統的な妄想形成を主な特徴として、通常、幻覚や統合失調症のような思考障害は伴わない。妄想のテーマとしては、迫害と誇大の内容が混ざったものが多い。 もちろん、妄想は現実…

本能

1.本能とは 本能とは、各種に固有な遺伝的・先天的に規定された内因性の行動傾向のこと。個体差は見られず、生得的なプログラムによって発現し、環境や学習に影響されずに一定の目標に向かう。生得性、固定性、種別性、不可逆性などを特徴とする。

抑制

1.抑制とは 抑圧と区別され、観念や感情などの意識内容を意識的に「意識」から「前意識」に押し込めようとする心的な活動のことをいう。それゆえ、一度抑制されたとしても、再び意識化することはできる。なお、抑圧は無意識的に働き、意識的な意識化はでき…

抑圧

1.抑圧とは 抑圧は、フロイトによって一番最初に明らかにされた自我の基本的な防衛機制の一つ。受け入れがたい観念や記憶、それに伴う情動や衝動を意識から追い出し、無意識の中に閉じ込めておこうとする自我の活動であり、それ自体、無意識的に働くという…

分裂

1.分裂とは 人間の発達過程で、抑圧が可能になるのはエディプス期(4~5歳)以降であるが、分裂は、1歳前後の乳児において活発に働く原始防衛機制の一つである。対象や自己それぞれについて、欲求充足的な側面(良い対象、和良い乳房)と攻撃的・欲求不満的…

否認

1.否認とは 否認とは、知覚しながらもその存在を認知すると、不快、不安、恐怖などを引き起こすような現実や自分自身を、そもそも認知しないようにすること。防衛機制の一つ。しばしば否認は、抑圧と対比されるが、抑圧が内的な情動や欲動を意識から排除す…

反動形成

1.反動形成とは 反動形成とは、自分にとって許しがたい衝動が起こったときに、その衝動とは真逆の態度を取ることで対峙しようとすること。防衛機制の一つ。当初、抑圧によって対処しようとするが、どうにもならないため、真逆に舵を切ることで補強しようと…

取り入れ

1.取り入れ(摂取)とは 対象の属性を取り入れて、自らのものとすること。投影が生物学的に異化に例えられるのに対して、取り入れは同化、すなわち自己の一部とする現象に例えられる。防衛機制の一つ。

投影

1.投影とは 投影とは、自分の本能・衝動・情緒・観念・表象などを外在化して、自分とは別の対象に属するものとして知覚する規制である。防衛機制の一つで、取り入れが同化にたとえられるのに対して、投影は異化や吐き出しに相当する。つまり、自分の内に留…

同一化

1.同一化とは 自己と対象の境界が曖昧になる認識のあり方と、取り入れの機制を介して、自己が対象の持つ属性を獲得するプロセス。防衛機制の一つ。 要するに、相手になりきることで、無力で、惨めな自分を覆い隠そうとする。

昇華

1.昇華とは 原始的な対象備給が禁止される場合、性的・原始的な満足以外の目的、つまり文化的・社会的に有用で、より創造的な目的に転換されることになり、これを昇華という。防衛機制の一つで、「成功した防衛」といわれる。 要するに、正攻法で乗り切るこ…

躁的防衛

1.躁的防衛とは 躁的防衛とは、空白の時間を埋めるため忙しく動き回ること。防衛機制の一つ。 万能感を喪失するのではなく、万能感を自らが放棄するととらえ直すのが抑うつポジションの進展といえるが、これらの抑うつ不安を打ち消し、万能な自分がいるとい…

打ち消し

1.打ち消しとは 打ち消しとは、既に行われた行為や意識された考えに伴う特定の情動を、正反対の情動的意味を持つ行為や考えによって打ち消そうとする「つぐない」と「やり直し」の心理規制である。防衛機制の一つ。この打ち消される行為や考えは、常に超自…

合理化

1.合理化とは 自分の取った行動や態度や考えに対して、論理的に妥当な、あるいは倫理的に非難されない説明をつけ、それによって不安を起こさずに自分の望む言動を達成しようとする試み。防衛機制の一つ。 知的活動を要するにもかかわらず、知性化や昇華と異…

防衛機制

1.防衛機制とは フロイトによって明らかにされた精神分析の中心的理論概念の一つ。主観的・意識的な安定を保つ無意識的な自我の働きを目的とする心理機制のことで、意識することによって、不安、不快、苦痛、罪悪感、恥などを体験するような情動や欲動を意…