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バルビツール酸系@睡眠薬

1.バルビツール酸系の特徴



 ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤が存在する現在にあって、致死量の低い古典的なバルビツール酸系をあえて処方する理由はほとんどない。とはいえ、非常に良く効く。

 通常、安全性の高いベンゾジアゼピン系の睡眠薬が処方され、利かないと抗精神病薬が追加され、それでも改善されない場合にフェノバールなどのバルビツール酸系の催眠鎮静薬が処方される。バルビツール酸系は、脳の大脳皮質や脳幹に作用して、脳の覚醒を抑えることによって眠気や鎮静作用を生じさせる。その作用の強さは、まさにマンガに出てくるような「睡眠薬」のイメージそのものといえよう。非常に効く。芥川龍之介の自殺や太宰治の自殺未遂はコレといわれている。

 バルビツール酸系の催眠鎮静薬は、耐性の形成が2〜3日から1か月程度と早いため、使用量がどんどん増えていくというデメリットが存在する。また、依存性が強く、急激な減薬や使用の中止によって離脱症状(禁断症状)を引き起こしやすい。全然やめられない。

2.薬の種類

A.総称名イソミタール、一般名アモバルビタール
B.総称名フェノバール、一般名フェノバルビタール
C.総称名ラボナ、一般名ペントバルビタールカルシウム
D.総称名ベゲタミンA、一般名クロルプロマジン・プロメタジン配合剤錠

 本来抗精神病薬だが、強力な睡眠薬として処方されることも多い。ベゲタミンAとベゲタミンBの2種類存在し、Aのほうが薬剤の含有量が多いため作用も強い。その作用の強さから、「国内最強の睡眠薬」、「飲む拘束着」と呼ばれている。鎮静には3〜4錠分、通常就寝前に1〜2錠。血中濃度半減期は95〜131時間と非常に長く、翌朝の覚醒は容易ではない。一般的な日常生活を送る会社員が服用することは週末以外は事実上不可能である。肝臓のダメージが大きく、長期間に渡って服用していると、遅発性ジスキネジアやジストニアを起こすことが知られている。稀だが悪性症候群が生じることもある。とりあえず鎮静目的。