臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてのあれこれをだらだらと。

万引き

1.万引きの意味



 万引きは、初発型犯罪・高齢者犯罪の典型とされ、非行性・犯罪性の進んでいない人による機会的なもの、又は体力的な衰えのある高齢者の常習的なものが多いとされる。程度は軽く動機や意味に関して、精神的または物質的な欠乏・欠損が、単独または複数関与している。要するに、どうにもならない空虚感や満たされなさを、手っ取り早くものによって埋め合わせようとする機制である。概ね次の2つに分けられる。

(1)愛情欲求不満型

 基本的には、寂しさを抱えているが、誰もかまってくれないことに不満たらたら。

 古典的な精神分析では、幼児性欲(口唇欲求)が満たされなかったたため、その満足を非合法的な手段で回復しようとする試みであり、盗みの行為と盗んだ品物それ自体に意味がある。盗んだものが、食べ物なのか、本なのか、あるいは下着なのか。

 特に幼くして母親を亡くした場合、まるでそのこころの欠損を埋め合わせるかのように、長年に渡って万引きを繰り返すこともある(純粋窃盗犯)。

(2)刺激希求性型

 「(自分が惨めなのは薄々わかっていますが)盗みのドキドキ以外に楽しみが何もないんです。」と。

 万引きが、心理的な緊張感を高める手段であり、古典的には「うつ病」との関係が指摘されてきた。「禁じられたことを隠れてする。」という点でマスターベーションと等価であり、窃盗の成功はオーガスムになるとされる。

 春日(2017)は、「スリスを求める心性やギャンブルにも似た運試し、日常へ没頭することへの嫌悪、秘密を抱えることを介して自己確認等の作用機序がある」としながらも、何よりも反復がもたらす酩酊感が大きく関与しているという。