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強盗

1. 強盗の特徴



 強盗は、他の犯罪と比べると格段に自己露呈的な犯罪で、発覚しやすく捕まりやすいものである。金銭を奪う犯罪としては、あまりに短絡的・非効率的といえよう。実際、集団にせよ単独にせよ、強盗の多くは無鉄砲な形で短絡的に行われることが多い。

 一般的な財産犯と比べると、凶悪犯である強盗は外向的・発散的であり、短絡的・自棄的な色合いが強い。その背景には、不全感と劣等感が漂い、自分を引き立てるためには他者がいなければ安心できないという幻想を根づかせている。わざわざ強盗を選択せざるを得ないところに、財産犯にも、粗暴犯にもなれない開き直りとふて腐れた構えがうかがえる。

2.強盗の類型

(1)侵入強盗

A.銀行強盗(=金融関係強盗)

 強盗目的で金融機関の建物に侵入するものである。コンビニ強盗などはこれの亜種。金曜日の午前中に多く、過去に銀行強盗をした人が繰り返すとされる。若くて、単独犯が多い。大抵の場合、綿密な計画性はなく、思い立ったときに計画し、借金などの何らかの必要性があって行われる。メディアが描くような経験豊富な犯罪集団によるものは映画の中だけの話。

B.それ以外

 強盗目的で日中、屋内に侵入する上がり込み強盗、強盗目的で夜間、就寝中に侵入する押し入り強盗などがある。

(2)非侵入強盗

 現金輸送車などを途中で強盗する途中強盗、口実を設けて被害者をおびき出し、金品を強奪するおびき出し強盗などがある。

(3)路上強盗

 路上で通行人から金品を強奪するもの。引ったくり。おやじ狩りなど。

3. 動機と意味

(1)利欲型(目の前のニンジン)

 金品欲しさから行うもので、最初から計画的に行う場合と、恐喝などから移行する場合がある。生活苦の切実さはなく、遊び金欲しさに行われることが多い。とはいえ、利欲目的の強盗はコストパフォーマンスが非常に悪い手段であるため、実際には他の理由が背景ある可能性が高い。借金など。

(2)追従型(金魚のフン)

 共犯者に誘われるか、話題になって付和雷同的に同調する。共犯者への見えが先行し、一緒だからという安心感から行われる。

(3)発散型(八つ当たり)

 自分の不適応感を他者に向けることで解消しようとする(投影と行動化)。他者に対して支配的に振る舞うことで、自分の抱えている苛立ちや不全感といったものを発散させようとする。おやじ狩りなど。

(4)闘争型(やられる前にやる)

 被害者との間に緊張関係があり、それに基づいて被害者を攻撃し金品を奪う。強盗は行動の結果に過ぎない。