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クレペリンの精神病質人格障害

クレペリンの精神病質人格障害



1.虚言者

 以前は「病的虚言」といわれていたもので、クレペリンは「虚偽及び欺瞞」をいう行動をとらえて一類型とした。デルブリックの「空想虚言」と全く同じ概念である。虚言者は、異常に活発な空想を抱き、その空想に熱中して非現実的な境遇を夢想し、願望に従って過去・現在・未来を思うがままに改変し続ける。そして、自分自身でもその空想と現実との区別がつかなくなるのが特徴である。

 現実はあまりに酷なので、夢の世界で生きているといえよう。

2.軽ちょう者

 軽ちょう者は、「生き方全体を支配する意志の被影響性」を特徴とすると定義される。知能に恵まれ想像力豊かで、気分はたいてい爽快だが、気分は続かない上、感情はその時々の刺激されやすく、抑うつ的・悲観的で不安を根づかせている。衝動的でキレやすく、遁走や自殺企図などにも走りやすい。何事に対しても熱しやすく冷めやすく、無計画さが顕著であるため、詐欺や窃盗、横領などに関わる場合も多い。

 シュサイダーの精神病質類型では、ほぼ意志欠如者に相当するが、発揚者、顕示者、情性欠如者もまた「軽ちょう」であることを指摘し、軽ちょう者を批判している。

3.抗争者

 頑固で、闘争的で、周囲と絶えずもめごとやいざこざを起こし、些細な食い違いから激しく果てしない争いを発展させていく人である。強い感情的な興奮性と高揚した自我価値感情が特徴的で、うぬぼれが強く、自分が周囲の誰よりも偉いと思っている。刺激性の持続性が長いことで「興奮者」と区別され、観念が妄想に発展しないことで「好訴者」と区別される。

 好訴者のうち、熱しやすく冷めやすい場合は、シュナイダーの発揚者に分類され、一定の支配観念に固執して争い続ける場合は、狂信者に分類される。

4.好訴者

 現実ないし仮想の権利侵害や屈辱などをきっかけに、その後の人生を訴訟と闘争に掲げる人である。独善的な正義感に基づき、個人的価値観に固執する。クレペリンは、真の好訴者と仮性好訴者(抗争者) に分けた。好訴者は、精神病質的な人格の反応・発展と考えられている。