1.認知症とは
認知症は、比較的遅い段階までパーソナリティが保たれ、通常の日常生活を比較的うまく送ることができる。ウィナー(1997)によると、進行的な認知症に伴う精神機能の損失は、自我の退行過程として理解できるという。より原始的な防衛機制が、成熟した防衛機制に取って代わるようになる。最も一般的な防衛機制は否認と投影となり、認知症患者は何かを間違えた際、それを自分の責任として理解するよりも、他人を避難するようになる。
(1)アルツハイマー型認知症の特徴
アルツハイマー型認知症の場合、多くの精神機能が低下するまで自己意識が障害されることはない。過去の自分を思い出し、機能不全が生じている今の自分に混乱する。
時間を超えた自己の連続性は、記憶により形づけられている。それゆえ、過去の記憶が曖昧になると、患者の同一性も消失し始める。最終的に配偶者や家族を認識できなくなり、人生の出来事を思い出すこともできなくなる。