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幻覚

1.幻覚とは



 知覚としては体験されるものの、実際はその対象が存在しない心的現象を剌す。エスキロールは、「対象なき知覚」と表現し、あくまでも「知覚」という形態を取った何らかの障害と考えられる。

(1)幻聴

 聴覚性の幻覚。単純な音の幻聴である①要素幻聴と、それ以外の②複雑幻聴とに分けられ、②複雑幻聴はさらに②①音楽性幻聴と②②言語性幻聴に分けられる。①要素幻聴と②①音楽性幻聴は、側頭葉てんかんなどのてんかん発作として現れることが多い。②②言語性幻聴は、統合失調症精神病、アルコール幻覚症などで見られることが多く、シュナイダーは自生思考、考想化声、考想奪取、作為思考と同一のもので、自己所属感が障害されたことによって連続的に発展するものとした。

(2)幻視

 視覚性の幻覚。外因性精神障害に見られることが多い。

A.動物幻視

 アルコール性の振戦せん妄で最も典型的に出現する幻視。活発に動き回るネズミや虫などの小動物の場合が多い。

(3)幻嗅

 嗅覚性の幻覚。多くは不快な悪臭であり、統合失調症や側頭葉転換、自己臭恐怖に見られることが多い。統合失調症では、幻聴に次いで多く、被害妄想と結びつくことが多い。

(4)幻味

 味覚性の幻覚。味覚には「対象がない。」ことが判断しにくく、味覚過敏なのか、錯味なのか、幻味なのか判断しにくい。統合失調症では、幻味は被毒妄想を結びつきやすいが、その背景には味覚異常があると推定される。