1.質問紙法とは
質問紙法とは、被験者(テストを受ける人)が、ある特定のテーマに関する質問項目に対して「はい」、「いいえ」、「どちらでもない」などで回答する心理検査のことである。アンケートのようなものだが、主にパーソナリティ全体をとらえようとするものと、不安などの一部のパーソナリティ側面をとらえようとするものに分けられる。自分の行動や意見を記述することができる場合、質問紙法や面接法は有効な手段である。
なお、質問紙法や面接法は、被験者の言葉を信頼するという点で同じであるが、質問紙法では被験者自身が質問を読み、回答する(自記式)のに対し、面接法では被験者に直接つ質問を行い、回答を面接者が記入する(他記式)ことになる。そのため、質問紙で得られる情報は、被験者の記述した回答のみに限定されることになる。
2.質問紙法の長所と短所
(1)長所
- 施行や結果の整理が簡単である。コスパが良い。
- 実施者の負担が少ない。
- 時間もそれほどかからない。
- 集団でもできる。
- 統計的・客観的なデータが得られる。
- 解釈が簡単。誰でもできる。
(2)短所
- 被験者が適当に回答すると、適当な結果しか得られない。虚偽や社会的望ましさの影響を受けやすい(要するに簡単に嘘をつける)。
- 浅い。自分の知らないことや知りたくもないことはわからない。 検査する状況をコントロールしにくい。
- 質問紙以外の情報は基本的にスルーするため、行動過程は何一つ記録できない。サイコロを振っていたとしても、検査を「きちんと受けた。」ことになる。
- 問われている内容に沿った回答しかできない。
- 被験者の言語能力に依存する(→幼児や高齢者に不向き)。
3.質問紙法の種類
(1)パーソナリティをとらえようとする質問紙法
- MMPI
- 矢田部ギルフォード(YG)性格検査
- MPI
- NER-PI-R
- 向性検査
- エゴグラム
- EPPS など
(2)一部分を限定的にとらえようとする質問紙法
- MAS:不安
- STAI:不安
- CMI:身体・精神症状
- SDS:うつ症状
- BDI:抑うつの程度 など