臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

パーソナリティ障害の本質

1.パーソナリティ障害とは



 松木(2016)は、パーソナリティ障害について下記のように述べる。

 パーソナリティ障害は、行動の病である。その人の心に抱かれた不安や悲しみ、苦悩、葛藤をこころに置いておき、それに持ちこたえてその含みを考え続けることをやめ、行動、行為によってそれらをこころから能動的に排出してしまおうとする在り方である。その心的排出行為は、身体的な行為として達成される。ここにその苦痛に蓋をし、上書きするための強い快感獲得行動が持ち込まれるなら、明確なこころの倒錯が生じる。たとえば、アルコールや薬物の嗜癖、性倒錯、性的乱脈というパーソナリティの病理行動においでは、こころの苦しみ、悲哀、不安を薬物や性的興奮の強度の快感をもたらす行為で霧散させてしまう。

 「こころに出会う」より。



離人症

1.離人症とは



 「自分がいる感じがしない。」といった自我機能の障害や、「外にあるものが全然ピンとこない。」、「そこにある感じがしない。」といった対象意識の障害、「自分の身体が自分ものでない感じがする。」といった身体意識面の障害を、主観的に体験する現象である。

 ジャネは、離人症の背景に空虚感を考え、これは自我の実在機能が減退していることを自我が自覚している感情状態であるという。

心的外傷と心的外傷後ストレス障害

1.心的外傷とは



 心的外傷とは、個人に、自我が対応できないほどの強い刺激的な体験が与えられることをいう。客観的現実の出来事が原因になることもあるが、心的外傷という場合、個人の主観的な体験がより重要視される。もともと心的外傷という概念は、フロイトの神経症に関する初期の研究の中で提唱し、恐怖、不安、恥、あるいは身体的な苦痛などの情動反応を引き起こす刺激として論じられた。

2.心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは

 心的外傷後ストレス障害とは、過酷なストレスに対する反応として生じる精神障害で、強い恐怖、驚愕、絶望などの心理的な状態を呈する。誘因となる出来事は、通常人間が体験する体験を越えたものであり、拷問や暴力を受ける、災害や事故で自分や家族の生命が脅かされる、多の人が襲われたり殺されたりするのを目の当たりにするなどである。

 この結果、外傷的な体験が生々しく思い出される一方、その外傷と関連した刺激の持続的な回避や外界に対する反応性が低下する。また、睡眠障害や過剰な警戒心、易刺激性などの心理的覚醒状態も現れるようになる。