臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

依存性パーソナリティ障害

1.依存性パーソナリティ障害とは



 世話をされたいという過剰な欲求のため、従属的な振る舞いでしがみつき、分離に対する強い不安を抱いているパーソナリティ障害である。過剰な助言や補償がなければなかなか自分で決められない。終始、他人の指示に従おうとする。自分の考えがあったとしても、依存する相手の欲求に自分を合わせようとする。一人は不安で、無力で落ち着かない。

 依存性パーソナリティ障害の家族は、往々にして自立性が低く、支配性が高い。自立は危険に満ち溢れていると伝えられ、根底にある不安によって世話すること、世話されることを求めざるを得なくなる。依存は怒りを周到に隠すことにつながり、敵意や攻撃性を防衛するという意味では妥協形成といえるが、しばしば悪意ある要求に姿を変えて表出することになる。

 一見すると弱々しいだけのように見せるが、病的なまでに他者にしがみついたり、他人の言動に便乗して一切の責任を回避したりすることで、安全な場所に身を潜めようとする。周囲を見下し、支配しているかのような振る舞いには、潜ませた万能感を伺わせる。受動的な構えや弱々しさの演出は、病理構造体を覆う隠れ蓑として機能しているといえよう。

 歴史的にはアブラハムの口唇性性格やホーナイの従属性格がその起源とされる。依存対象からの分離をきっかけに顕在化することが多い。

境界性パーソナリティ障害

1.境界性パーソナリティ障害とは



 境界性パーソナリティ障害は、愛情を際限なく求め続け、暴力的なやり方を用いても自分の欲求の充足しようとする障害である。100%の愛情を常に求める。空虚で、耐えがたい愛情飢餓的な感覚に基づく行為といえるが、それは巧妙に周囲を巻き込み、混乱させ、倒錯的であるがゆえに周囲を不快にさせる。それゆえ、いかに愛情が注がれたとしても、境界性パーソナリティ障害が求める自己愛的で、万能的なものになり得ず、本当の意味で満たされることは決してない。

 万能感、破壊性、攻撃性、倒錯性、自己破壊性等の病理構造体の病理面が同時あるいは交代で出現し、不安定で混乱した状態がいつまでもだらだら続くのが境界性パーソナリティ障害の特徴である。

反社会性パーソナリティ障害

1.反社会性パーソナリティ障害とは



 破壊性・攻撃性が前面に出てくるパーソナリティ障害が、反社会性パーソナリティ障害である。攻撃性と破壊性は、倒錯的に理想化される。現実的な自我は、病理構造体にからみとられ、本来備わっているはずの超自我や倫理観は麻痺される。その結果、犯罪に走る自分が何か素晴らしいことをしているような思いに支配されることになる。

 攻撃性がそれほど強烈ではなく、直接には社会の迷惑にならないものを非社会的パーソナリティ障害という。情性欠如者や精神病質者に相当する。