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回避性パーソナリティ障害

1.回避性パーソナリティ障害とは



 引きこもりという病理は、シソイド・パーソナリティ障害に共通するものの、回避性パーソナリティ障害の場合、抱えている不安・苦痛が、シソイド・パーソナリティ障害のような迫害不安や精神病理による不安ではなく、抑うつ的な不安や罪悪感・苦痛である。自我を病理構造体に埋没させているわけではなく、より現実的で、対人関係を求める気持ちを抱いている。回避性パーソナリティ障害は、妄想・分裂ポジションではなく抑うつポジションに対する防衛といえる。

 他の人から悪くいわれているのではないかとの恐怖を根づかせ、あらゆる対人関係で不安を感じ、そのために対人関係そのものを回避しようとする。とはいえ、つらい現実から逃げ、閉じこもりながらも対人関係を維持したいという気持ちを抱いている点が、シゾイドパーソナリティ障害とは異なる。

 回避性パーソナリティ障害は、DSM-3の人格障害概念の基礎を作ったミロンによって提唱されたものである。当初は、その妥当性が疑問視されてきたが、その後、比較的多く見られる障害であることが認められている。臨床的には、社会恐怖や空間恐怖と合併することが認められ、その鑑別が重要となる。