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祈祷性精神病

1.祈祷性精神病とは



 森田正馬(1915)が「祈祷性精神症」と命名したもので、平常憑依、神罰、精神感通等の迷信を抱く患者に、祈祷もしくは類似した原因をきっかけに起こる一種の自己暗示性の精神異常定型で、錯乱状態、混迷状態、人格変容状態の3つに分類される。民俗事象である「犬神・狐」などの憑依症もこの中に含まれるとのこと。

 祈祷性精神病は、いわゆる呪術的観念・思考が支配するシャーマン文化に由来する名称であり、この他に霊媒性精神病、神がかり、つきものと呼ばれる用語も精神医学的には同様の概念内容を持つものが多い。

 疾病医学的には、ヒステリーを含む心因反応にとどまらず、神経症、非定型内因性精神病、統合失調症に至るまで、民俗宗教文化を基盤に描写の危機表現として文化社会状況的に出現することが論じられている。なお、初期キリスト教における宗教的法悦状態での舌がたりも、広義には祈祷性精神病に属するものといえよう。