1.転移とは

転移とは、本来は過去の特に子ども時代に重要な人物、両親などに対して体験した感情、思考、行動、態度を今の人間関係のある人物に置き換えることである。それゆえ、今の対象(相手)にとっては、不合理な内容の感情、思考、行動、態度といえる。学校や職場、社会の全ての人間関係には、理にかなった現実的側面とともに転移的な側面が存在する。
ブレナー(1982) は、「すべての対象関係は、最初の関係に新しく加えられたものであり、子ども時代の決定的な愛着‥・転移は至る所にあり、それはその人の生活で他人が重要な影響を持つ全ての状況で起きるのだから、あらゆる分析状況で起きる。」という。