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自我と自己

1.自我とは



 自我はフロイトが用いたIchの訳語で、直訳すると自分、私、自我などの意味を含んでいる。要するに「私」のことを意味するが、この場合の「私」は、主人公である「私」こそが全てで、それ以外の物事はほとんど関係がない(興味がない)という立ち位置にいる。自我心理学で好んで使われるが、対象関係論では客体を想定した「自己」が用いられるため、自我が使われることはほとんどなくなった。

 良くも悪くも自我には「私!」感が強すぎる。            

(1)自我親和的

 欲求、感情、観念、行動などが、その個人の自我(自己の意識)にとって受け入れられ、違和感を生じないような状態にあること。自分の基準に受け入れられ、調和しているかどうかで、自我親和的(=何となく好き・近づきたい)か、自我違和的(=何となく嫌い・遠ざけたい)かが決まる。

2.自己とは

 自己は、主体としての自己と、客体としての自己の二重構造を持つことが特徴である。通常、行為者としての自己と対象としての自己を区別するとき、前者を自我といい、後者を自己と呼ぶ。ユングは、自己は意識、無意識を含むこころの中心であり、意識の中心として自我を含むと考えた。自己そのものは意識されないものの、その働きは象徴として自我に把握されることになる。