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攻撃性

1.攻撃性とは



 攻撃性には、いくつかの概念が組み合わされている。

 ①攻撃行動。怒り、敵意、憎しみ、恨み、不満などにもとづいて、他人、自分、その他の対象に重大な暴力や死、苦痛、恐怖などをもたらす行動。身体的攻撃と言語的な攻撃に分けられる。
 ②攻撃本能。人間がもともと持つと思われる攻撃。③その本能のもつエネルギーである。

 カ動的な心理学で最初に着目したのがアドラーで、「権力への意志」と表現した。続いてフロイトは、攻撃性を性欲と共同して征服本能と考えたが、中期には、自己保存に役立つ自我本能の一部と見なし、後期には、エロスとタナトスの二大本能論を立てると、この2つの融合によって生じるがタナトスが優勢になるときに目立つと考えた。攻撃性に関連する現象には、羨望、陰性治療反応、抵抗、ナルシシズム、性的倒錯などがある。

 その一方、ダラーやミラーは、前述した一次的な攻撃本能を否定し、葛藤場面に対する二次的な反応であると仮定し、欲求不満・攻撃理論を提唱した。攻撃性は欲求不満に比例し、その方向は欲求不満の原因に向けられるが、その発現が阻止されると攻撃対象の置き換え、空想、退行などが起こるという。また、ローレンツらは、攻撃の定義を同種間の敵対行動に限定して考察し、攻撃性は遺伝的にプログラムされ、特異的な刺激によって触発される本能的な行動パターンとした。