臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてのあれこれ

打ち消し


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1.打ち消しと反動形成

打ち消しとは、既に行われた行為や意識された考えに伴う特定の情動を、正反対の情動的意味を持つ行為や考えによって打ち消そうとする「つぐない」と「やり直し」の心理機制である。要するに、なかったことにしようとする機制といえる。この打ち消される行為や考えは、超自我の批判を受けた罪悪感や恥の感情などである。

怒った後にやたら優しくなるのは、このため。

なお、打ち消しは、行動や考えについてのみ生じるのに対し、反動形成ではその人の全体的な態度が、無意識の欲動に対して正反対の形を取ることになる。反動形成が不全または未発達の状態では、打ち消しが活性化することが多い。

つまり、反動形成では、怒りがひっくり返って「優しくなる。」ことが常態化するものの、打ち消しでは、怒りによる罪悪感や恥を感じた瞬間にしか「優しくなる。」ことができない。そういう意味では、打ち消しは反動形成の下位互換という水準ではなく、単なる出来損ないといえるかもしれない。