
1.躁うつ病
統合失調症と並ぶ二大内因性精神病の一つ。躁状態やうつ状態という感情の障害が、はっきりとした周期を持って出現し、通常、経過後に人格欠陥を残さずに完全な回復に至る。以前は感情病といわれ、その両極性に注目して循環精神病、循環病などと呼ばれてきた。現在では双極性障害と定義されている。
古代ギリシャのヒポクラテス全集の中に、すでにメランコリーとマニーの状態像の記載がある。当時の体液学説に従うと、黒胆汁の過剰がメランコリー(うつ)を、黄胆汁の過剰がマニー(躁)を引き起こすと考えられていた。19世紀、J.P.ファルレとJ.バイヤルジェはほとんどときを同じくして、独立的に躁病とうつ病が単一の疾患の異なる状態像であると述べ、それぞれ循環精神病と重複型精神病を提案した。これを受けてE.クレペリンが、周期精神病や循環性精神病と呼ばれていた疾患と単一躁病をまとめて躁うつ病と名づけた。
近年の新しい精神医学の診断と分類では感情障害、気分障害にとって変わったが、その基本概念はほとんど変わっていない。