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抗精神病薬 基礎知識と補足事項


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1.うつ病の病因仮説

古典的モノアミン仮説では、うつ病は脳内モノアミン(ノルアドレナリン・セロトニン・ドパミン)量が減少することに起きると仮定した。そのため、抗うつ薬によって低下したモノアミンを増加させることにより、うつ状態が改善するとされる。しかし、抗うつ薬の投与すると脳内モノアミン量は数時間後には正常レベルにまで戻るが、うつ状態が改善するまでには少なくとも1〜2か月程度かかる。このタイムラグがうつ病の古典的モノアミン仮説の最大の矛盾点である。

そこで近年注目を集めているものが、うつ病の神経可塑性仮説である。神経可塑性仮説では、ストレスにさらさえると脳由来神経栄養因子(BDNF)をはじめとする神経由来因子の生産が低下し、特に海馬や前頭皮質などでの神経新生を減少させると考える。うつ病では、このBDNFが低下したことによって、神経新生やシナプス新生も低下するため、抗うつ薬や電気痙攣療法などを行うことでBDNFの産生が増え、神経可塑性が回復するとされる。つまり、抗うつ薬投与によってモノアミンが増加すると、セロトニンやノルアドレナリンの受容体を介したシグナルが 最終的にはBDNFを増加させることによってうつ病の改善する。

実際のところ、うつ病の病因は未だに不明。とはいえ、現在市販されている抗不安薬は古典的モノアミン仮説に基づいて作られている。なぜなら、不思議とそれが効くから。

2.神経伝達物質と受容体

受容体には神経伝達物質がくっつくことによって受容体が機能する。受容体と神経伝達物質は、鍵と鍵穴の関係。セロトニン受容体にはセロトニンが、ドーパミン受容体にはドーパミンがくっつく。神経伝達物質は、アゴニスト(機能させる)とアンタゴニスト(機能させない)という2つの機能がある。

ちなみに、抗精神病薬の多くは、ドーパミン受容体にドーパミン(アゴニスト)がくっつかないようにするため、アンタゴニストをドーパミンにくっつけて機能を低下させる(遮断薬)。また、抗うつ薬の多くは、セロトニン(アゴニスト)の量を増やすことで、セロトニン受容体にくっつく量を増やしてその機能を亢進させる。なお、気分安定薬(バルプロ酸やリチウムなど)についてのメカニズムやその作用機序については不明。とりあえず、効果があるから使っている。

3.抗不安薬と睡眠薬

脳内には大きく2つの神経系が存在する。興奮と抑制。

・興奮(闘争)
グルタミン酸神経系(代表はAMPA受容体、NMDA受容体)
・抑制(リラックス・不安低下)
GABA神経系

抗不安薬と睡眠薬は、基本的に同じ薬理作用。脳内のGABA神経系を亢進させることによって不安・緊張が低下し、リラックスした状態になって眠気が生じる。眠気の強いタイプが睡眠薬として処方されているが、実際は大して変わらない。

4.ベネフィットとリスク

・良い点
すぐに効果がある、効果を実感しやすい、不安な場面に対して頓服で用いることによって自信が付く、睡眠不足を一時的に解消できる。

・悪い点
効果が切れる時間が短い、効果が切れた後に反動として不安などが憎悪する可能性がある、依存しやすい、効果が強いと最低限の不安もなくなって衝動的に行動する(脱抑制)、根本的な治療にならない。