臨床心理学にいる

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抗精神病薬の種類 抗不安薬

抗不安薬の種類


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現在使用されているのは、ほとんどがベンゾジアゼピン系の薬物。ベンゾジアゼピン系の薬物は元来、精神的・身体的依存をきたすが、臨床に用いられるものはできるだけその傾向が少ないものが選ばれる。利点は、薬効量と中毒量の差が大きいことにある。適応範囲は非常に広く、神経症圏からほとんどの精神病圏までに渡る。


1.ベンゾジアゼピン系



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当初、非常に安全な薬といわれていたベンゾジアゼピン系の抗不安薬であったが、その後の研究によって様々な問題が表面化している。その中でも最大の問題は、依存と耐性が生じることであり、アメリカ国内ではベンゾジアゼピン系の薬物投与を最大でも4週間とする注意書きが添付されている。不安に対して効果を発揮するが、同時に依存も形成しやすく、抑制も外れやすい。

  • 総称名セルシン、総称名ホリゾン、一般名ジアゼパム。1984年、デパスの登場まで標準薬の地位にあった薬。代表的な抗不安薬。

  • 総称名メイラックス、一般名ロフラゼプ酸エチル。薬価が高い抗不安薬、長時間作用する。

  • 総称名ソラナックス、総称名コンスタン、一般名アルプラゾラム。妥当セルシンを目的に開発された薬。アメリカ国内抗不安薬売上ナンバー1。比較的作用の発現が早く、またその血中濃度半減期は10〜15時間と比較的「抜け」も良い薬として支持されている。

  • 総称名ワイパックス、一般名ロラゼパム。舌下投与可能な代表的な抗不安薬の一つ。 総称名クロルジアゼポキシド、総称名コントール、総称名バランス、一般名クロルジアゼポキシド。安全性が売り。 総称名レキソタン、一般名ブロマゼパム。効力が強い。セルシンの約5倍といわれる。デパスとほぼ同等。マイナートランキライザーの中では最も強力だが、それにも関わらず服用後の眠気が非常に弱い。


2.非ベンゾジアゼピン系



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非ベンゾジアゼピン系は、セロトニン(5HT1A)の 1A受容体に働きかける抗不安薬。セロトニン受容体は多くの種類が存在しており、その中で1A受容体は抗うつ・抗不安に関係していると考えられる。セロトニンの受容体は、大脳辺縁系に高密度で分布しており、クエン酸タンドスピロンはセロトニン受容体の中でも1A受容体にだけ選択的に刺激することによって、セロトニン神経系の活動を抑制し、抗不安作用と抗うつ作用を示すと考えられている。

過緊張や不眠を伴わないものは、興奮性神経系によるものではないと判断し、非ベンゾジアゼピン系を第一に選択する。

  • 総称名タンドスピロンクエン酸塩、一般名タンドスピロンクエン酸塩、クエン酸タンドスピロン。耐性や依存性のない抗不安薬を開発。つまり、効き目が弱い、即効性がない。


3.チエノジアゼピン系



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ベンゾジアゼピン系マイナートランキライザーの「ベンゾジアゼピン」とは、ベンゼン環、ジアゼピン環、アリノール環の3つから成り立っている。この3つのうちベンゼン環を他の物質(この場合はチオゲン環)に置き換えて開発されたのが、チエノジアゼピン系マイナートランキライザーである。

不安とは、脳内の感情や情緒を司る部位の異常な興奮によって引き起こされることがわかっている。同時に、その興奮を抑制する働きを持つ神経が存在し、その神経に使用される物質がGABA(ガンマアミノ酪酸)である。チエノジアゼピン系抗不安薬は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と同一の作用機序を持ち、脳内のGABA神経に作用するという特徴がある。チエノジアゼピン系抗不安薬が、脳内の他の神経に影響を与えることは非常に少なく、これがチエノジアゼピン系抗不安薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬が安全といわれる所以である。

  • 総称名デパス、一般名エチゾラム。日本で売上ナンバー1の抗不安薬(になったこともある)。セルシンを抜き去った。セルシンに比べて5〜6倍強力といわれ、ダウナー系ドラッグの代用品。ただし、半減期が短いため、依存しやすい。常用は駄目。

  • 総称名リーゼ、一般名クロチアゼパム。抗不安作用の強さと副作用の小ささで、心身安定薬とも呼ばれる。身体症状を伴う精神障害に対しても効果的である。