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抗精神病薬の種類 定型抗精神病薬

定型抗精神病薬の種類


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定型抗精神病薬は、ドーパミン受容体遮断作用がメイン。副作用は、めまい、過鎮静、眼球上転、眠気、口の渇き、遅発性ジスキネジア、脱力感、低血圧(立ちくらみ)、便秘、振戦、月経障害、性機能障害、排尿困難、ふらつき、アカシジア、体重増加などである。常用すれば副作用が顕著に現れる。錐体外路症状とセットなのが定型抗精神病薬で、錐体外路症状とセットではないのが非定型抗精神病薬といった感じである。


1.フェノチアジン系



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最も古典的な抗精神病薬。幻覚・妄想などの、いわゆる陽性症状に対してのみ効果を発揮する。1950年代初期、それまでは獣医が動物の寄生虫に治療していた塩酸クロルプロマジンが、統合失調症に有効であることが見つかった。塩酸クロルプロマジンは最初のフェノチアジン系の抗精神病薬であり、この発見以降、統合失調症の治療は大きな転換期を迎えることになった。

  • 総称名コントミン、一般名クロルプロマジン塩酸塩。総称名ウインタミン、一般名クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩。1955年に発売された世界初の抗精神病薬。発売されたときは「希望の光」そのものであり、未だに使用されることがある。非常に安い。しかし、古い薬だけあって副作用の多さでも知られている。ちなみに、ベゲタミンAの主成分の1つはコレである。脳内のドーパミンやアドレナリン、ムスカリン、ヒスタミンといったあらゆる受容体に対して作用する。それゆえ、ドーパミン神経の過剰な活動によって引き起こされる妄想、幻覚、混乱、興奮といった統合失調症の陽性症状を抑制し、非常に強力な鎮静作用を発揮する。
  • 総称名ヒルナミン・総称名レボトミン、一般名レボメプロマジンマレイン酸塩。非常に強力な鎮静催眠作用だが、抗幻覚・抗妄想といった作用は比較的弱い(通常、セレネースなどで補う)。治療よりも鎮静目的で用いられる。

  • 総称名メレリル、一般名塩酸チオリダジン。重篤な副作用と併用禁忌の多い薬剤。2005年に販売中止。

  • 総称名ニューレプチル、一般名プロペリシアジン。脳内の情報伝達系の異常を改善する作用がある。また、ドーパミン受容体を遮断することから、強力な鎮静催眠作用を有している。統合失調症の陽性症状や精神運動興奮、攻撃性、易怒性などに対しても有効とされる。

  • 総称名オーラップ、一般名ピモジド。


2.ブチロフェノン系



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ブチロフェノン系の抗精神病薬は、脳の中枢に直接作用して、幻覚、異常行動といった精神病の諸症状、特に統合失調症の陽性反応を抑えるとされる。

  • 総称名セレネース、一般名ハロペリドール。旧来の定型抗精神病薬だが、脳の中枢に直接作用して、幻覚、異常行動といった精神病の諸症状、特に統合失調症の陽性反応を抑えるとされる。ハロペリドールは、脳内のドーパミンD2受容体のみならずD1受容体にも拮抗(遮断)することによって強い抗精神病薬作用を発揮すると考えられている。作用の発現も早く、持続時間も長い。抗コリン作用も比較的少ないが、その強力なドーパミンD2受容体遮断作用によって錐体外路症状(筋緊張低下による運動亢進症候群など)といった副作用が生じやすい。

  • 総称名ブロムペリドール、一般名ブロムペリドール。

  • 総称名トロペロン、一般名チミペロン。


3.イミノベンジル系



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* 総称名クロフェクトン、一般名クロカプラミン塩酸塩水和物。特徴は、感情鈍麻、思考や意欲の減退といった統合失調症の陰性症状に対して有効とされる点にある。リスパダール等の非定型抗精神病薬が登場するまで、陰性症状に有効とされる薬物は非常に限られていたため、クロカプラミンはその代表的な薬剤とされた。その特徴はセロトニン5HT2A受容体拮抗(遮断)作用を有しているためとされており、作用機序はSDAと似たところがある。もともとは精神神経安定剤と呼ばれ、統合失調症以外にうつ病や感情障害に対しても効能が認められいたが、現在は統合失調症のみに適応とされる。副作用は抗コリン性の症状と体重増加。長期間に渡って飲み続けると遅発性ジスキネジアが出ることがある。

  • 総称名クレミン、一般名モサプラミン塩酸塩。


4.ベンザミド系



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* 総称名ドグマチール、一般名スルピリド。色々な精神障害に用いられる。抗精神病薬でありながら胃・十二指腸潰瘍の薬でもあるが、もともとはそちらがメインで開発された薬。ゾロ薬(ジェネリック)がやたら多い。副作用の少ないSSRIの台頭により減少しつつある。


5.その他



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* 総称名ゾテピン、総称名ロドピン、一般名ゾテピン。