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睡眠薬の種類 ベンゾジアゼピン系

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬


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ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤は、過去に使用されてきたバルビツール系の薬物に比べると非常に安全性の高い薬物といわれている。これはベンゾジアゼピン系の薬物が脳内のGABA神経のみに作用するという特徴をもっているためで、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬が脳内の他の神経に影響を与えることは非常に少ない。

脳内の神経伝達物質の中でGABA(gamma-aminobutyric acid:γ-アミノ酪酸)は、抑制性の神経伝達物質として働き、このGABAの神経伝達が亢進すると催眠・鎮静作用などが出現する。脳内の神経伝達に関わるベンゾジアゼピン受容体は、このGABAの受容体と複合体を形成し、ベンゾジアゼピン受容体が刺激されると、GABAに関わる神経伝達も亢進して脳の活動が抑制されて眠気などが生じることになる。つまり、ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ベンゾジアゼピン受容体に作用することで、GABAの神経伝達が亢進され、催眠・鎮静作用が表れる薬である。また、脳の活動を抑えることで抗不安作用や抗けいれん作用なども有し、睡眠障害の他にけいれん発作の予防薬や麻酔前投与薬などとして使用されることもある。

とはいえ、耐性や依存といった問題が指摘され、アメリカでは最長4週間に制限されている。


1.超短時間作用型



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2〜4時間。入眠障害用。

  • 総称名ハルシオン、一般名トリアゾラム。売上世界ナンバー1。1984年に発売されて以降、世界売上ナンバー1。非常にキレがよく、強い入眠作用と超短時間作用型がもたらす清々しい目覚めが特徴。通常「青玉」。ハルシオン・トリップが有名。

  • 総称名マイスリー、一般名ゾルピデム酒石酸塩。ハルシオンのマーケットをターゲットとして開発された薬(非ベンゾジアゼピン系)。ベンゾジアゼピン系特有の筋弛緩作用、依存性、翌朝まで持ち越しといった副作用もない。その一方、「利かない、眠れない、副作用がある、値段が高い。」として敬遠されている。

  • 総称名アモバン、一般名ゾピクロン。新薬。とにかく苦い。シクロピロロン系の睡眠薬で、最高血中濃度到達時間が0.8時間と世界最速。ハルシオンと同様に超短時間作用型の睡眠薬。ハルシオンよりも強い。


2.短時間作用型



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6〜10時間。

  • 総称名レンドルミン、一般名ブロチゾラム。非常に副作用が少ないことで有名。とりあえずレンドルミン。医者が好むが、その一方、非常に効きが悪いため患者の評判は悪い。

  • 総称名エバミール、一般名ロルメタゼパム。1990年に発売された比較的新しい睡眠薬。特に抗不安作用が強く、入眠時の緊張を緩和してくれる。GABA神経だけに作用する(→つまり、旧来のバルビツール酸系の睡眠薬に比べて非常に安全)。副作用が少ない分、あう、あわないが存在し、あまり利かない。

  • 総称名リスミー、一般名リルマザホン塩酸塩水和物。純国産の睡眠薬。ハルシオンの下位互換。非ベンゾジアゼピン系。


3.中間作用型



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10〜20時間。

  • 総称名ネルボン、総称名ベンザリン、一般名ニトラゼパム。日本初のベンゾジアゼピン系の睡眠薬。これにより入院・外来治療へと移行する。

  • 総称名サイレース、一般名フルニトラゼパム。睡眠薬の売上をハルシオンと競う大ヒット商品。比較的強い作用以外にこれといった特徴はないが、麻薬及び向精神薬取締法上の第2種向精神薬に指定されている。

  • 総称名ユーロジン、一般名エスタゾラム。純国産。あまり人気がない。

  • 総称名エミリン、一般名ニメタゼパム。通称赤玉。密売されていたため、イメージが悪く、マイナーな存在になりつつある。ハルシオンよりも眠気やけん怠感が残る。

作用持続時間が長いということは、睡眠薬の抜けが悪く、就寝前に服用した睡眠薬が翌朝になっても残っており、非常にぼんやりとした状態が続く。やがで睡眠薬が体内に蓄積されていき、1日中ぼんやりするという状態に陥る。


4.長時間作用型



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20時間〜。

  • 総称名ダルメート、一般名フルラゼパム塩酸塩。

  • 総称名ドラール、一般名クアゼパム。1999年に発売された新しいタイプの薬。血中濃度半減期は36時間もあり、珍しい長時間型で非常に高価。ハルシオンやデパスと組み合わせて処方されるケースが見られ、ハルシオンで入眠し、デパスで睡眠中の不安を取り除き、ドラールで朝までぐっすりという夢のコンビネーションができあがる。