臨床心理学にいる

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色々な薬物犯 シンナー(有機溶剤)吸引

シンナー吸引


シンナーとは、各種染料を薄めるための「薄め液」のことで有機溶剤の総称である。世界中でシンナー遊びが社会問題化したのは日本が最初で、1960年代後半からヒッピーブームメントが始まり、ドラッグフリークが大量に出現した。その中でシンナー吸引が原因の酸欠による死亡事故が相次ぐと、世論に後押しされる形で「毒物及び劇物取締法違反」が一部改正され、1972年にはシンナーの使用・販売が規制の対象となった。


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シンナーに含まれる有機溶剤には、中枢神経麻痺の作用がある。特にトルエンにはこの作用が強く、気化した蒸気を吸引すると即座に酩酊状態になる。シンナーはこの酩酊作用と幻覚作用の両方を併せ持つのが特徴で、酩酊による気分変化(多幸感と不安、発揚と抑制、陶酔といらいら)と、意識混濁状態で幻覚が生じ、彼らはそれを「夢を見る。」と表現する。多くの場合、願望や想像をそのまま「現実のものとして見る(幻視)」することができるようである。

古典的精神分析では、有機溶剤の多くは口唇期に固執した性格であり、受動的・依存的な、甘えん坊であると考えた。言い換えるなら、自己愛的、自己中心的、万能的な性格で、乳幼児期における母子一体感をずっと夢見ている感じ。もちろん、現実にそのような夢が叶うはずもなく、一向に夢を叶えてくれない親を憎悪しつつ、土居健一郎のいう「甘え」の対象を求めてさまようことになる。そして、不安や緊張感を開放し、自尊心を満足してくれる幻想の世界へ旅立つことになる。


犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

  • 作者:福島 章
  • 発売日: 1982/10/22
  • メディア: 新書

有機溶剤にはいくつかのパターンがある。


1.遊び型


早発型で、多くの場合は自然に収まる。シンナー吸引を単純な遊びと捉え、好奇心や誘いによって面白半分に吸引する。まだ依存が形成されていないため、やめることもできる。非行・犯罪は軽度で、感染が主といえる。中には、集団型の吸引から単独型に移行し、連続的・たんでき的な吸引形態になる人もいる。


2.逃避型


現実生活における困難や情緒的な混乱から目を背け、シンナー吸引による意識混濁や感情鈍麻にせつな的な心理的逃避を図ろうとする。抑うつ的、神経症的な性格が背景にあり、シンナー吸引によって、わずらわしい現実から逃げ出すことができるようになる。長期的な吸引は、自閉的、無為、無関心などが重複した動因喪失症候群に繋がる。


引用・参考文献



いずれにせよ、今となっては暴走族と同様、絶滅危惧種の犯罪といえよう。