臨床心理学にいる

学問としての臨床心理学や犯罪心理学について、日々徒然と書いているサイトです。

色々な財産犯 引ったくり・仮睡盗・知人盗・下着盗

1.引ったくり



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通常、万引きなどの窃盗は、秘密裏に行われる。従業員や店員の動きを見ながら、監視カメラの位置を確認し、バックや服の中にさっと入れて見つからないように「上手」に店を出る。しかし、引ったくりは被害者の持っているものを直接的、ときに暴力的に奪い取る。粗暴犯的な要素が入り込んでいることを踏まえると、他の財産犯と同様に、親などの養育者に対して不平不満を抱いているものの、その感情を直接向けることができない程に未熟で、八つ当たり的・復讐的に被害者に向けていると考えられる。また、女性や高齢者など身体的に劣る人が選ばれがちで、そういう意味では、学校や会社でうまくいかず、不適応感をふつふつとさせているのかもしれない。


2.仮睡盗



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寝ている人から盗むことを、仮睡盗という。被害者が無力化されていること、つまり、酔っ払っているとか、寝ているとか、何らかの理由で反抗できない状態にあることが前提におかれ、人との関わりを極力避けようとする一方、そういう気弱で、情けない自分自身に対する葛藤の存在をうかがわせる。財産犯の中でも辺縁にいる一群であり、その延長上に置き引きやスリが位置づけられる。 家出が隠れん坊だとすると、仮睡盗・置き引き・スリはハンカチ落としのようなものかもしれない。知らずのうちにハンカチを落として1周してしまいたい一方、本当は気づいてほしいという独り善がりの願いがうかがえます。


3.知人盗



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友達や知人から金銭などを盗む場合を、知人盗という。わざわざ知り合いから盗む背景には、甘えを含んだ攻撃性があり、愛を求める側面と、友達や知人のように自分だけが満たされないことに対する腹いせ、八つ当たり、復習といった攻撃性が関係している。自分がこれまで親しい人に傷つけられ、裏切られてきたという心理的な苦痛を、今度は自分が、友達や知人のこころに押し込もうとしていると解される。そういう意味では、財産犯の中でもパーソナリティの偏りが大きいといえる。普通の人ならほぼほぼやらないことを、やらざるを得ないことに知人盗の病理がうかがえる。


4.下着盗


表面上は生活の崩れが少なく、一見すると性的意味合いが強いものの、実際は、自分自信がなく、女性に対して気後れしがちな問題を反映している場合が多い。下着に象徴されるものは、母親や恋人であり、やさしさ、愛、受容感、安心感といった感情を置き換える意味が含まれていると仮定する。「もの」である限り自己愛が傷つくことはなく、異性関係を回避し、自尊心が傷つかない世界に逃避している。フェティシズム。下着なら、決して裏切らない。


引用・参考文献