臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてだらだらと書き綴るサイト。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

パーソナリティとパーソナリティ障害

1.パ ーソナリティ(人格)とは 心理的・身体的な個性を、パーソナリティという。パーソナリティはラテン語のペルソナに由来し、もともとは劇などに使われた仮面の意味であったが、その徐々に変化していった。キケロは、①実際にはそうではないが、他人には…

発達障害

1.発達障害 …。 2.自閉症 自閉症は人をものの「ように」扱 うといわれるが、正確ではない。本当は人をもの「として」扱うのである。生きているものと無生命のものの区別がなく、生命感を実感できないのが自閉症の特徴といえる(参考文献失念)。 3.広汎性…

認知症

1.認知症とは 認知症は、比較的遅い段階までパーソナリティが保たれ、通常の日常生活を比較的うまく送ることができる。ウィナー(1997)によると、進行的な認知症に伴う精神機能の損失は、自我の退行過程として理解できるという。より原始的な防衛機制が、…

アンヘドニア

1.アンヘドニアとは アンヘドニアとは快楽喪失のことで、快楽・喜びを感じられない状態を意味する。うつ病と統合失調症の両方において用いられるが、意味内容は多少異なる。 (1)うつ病 うつ病のアンヘドニアは、これまで楽しめていたことが楽しめなくなり…

ウェクスラー成人知能検査

1.ウェクスラー成人知能検査とは 成人用の個別式知能検査法。精神発達の遅れを鑑別するために作成されたビネー法が、成人には不十分であることから、1939 年、ペルヴュー病院のウェクスラーが「ウェクスラー=ペルヴュー知能検査」を開発した。ウェクスラー…

MMPI

1.MMPI(Minnesota Multi phasic Personality Inventory)とは MMPIは、ミネソタ大学のハサウェイとマッキンレイによって作成された心理検査である。オリジナルは566項目、日本版では550項目の質問から構成されている。質問項目は、当時の問診内容や医学的…

MAS(顕在性不安尺度)

1.不安に関する2つの質問紙法 アイゼンクら(1985)は、①特性とは、様々な状況を通じて行動を規則的・永続的に決定する要因であり、②状態とは、ある特定のときに生じる要因であるという。 テイラー(1953)のMAS(顕在性不安尺度:Manifest Anxiety Scale)…

質問紙法

1.質問紙法とは 質問紙法とは、被験者(テストを受ける人)が、ある特定のテーマに関する質問項目に対して「はい」、「いいえ」、「どちらでもない」などで回答する心理検査のことである。アンケートのようなものだが、主にパーソナリティ全体をとらえよう…

知的障害

1.知的障害とは 以前は、精神薄弱や精神遅滞と呼ばれていたもので、明らかに平均以下の全般的知的機能(知能検査によるIQ70以下)と適応機能の障害が同時に存在(その文化圏で年齢に対して期待される基準を満たない)し、18歳未満に発症する。桜井(1988)…

認知

1.認知とは 認知は、理解、判断、記憶、論理などの知的過程に関するもので、知能に最も近い。情動や意志の過程と対比として用いられる。

知覚

1.知覚とは 世界を認識する基本的な形式のこと。

寄る辺なさ

1.寄る辺なさとは フロイトが乳児の無力さを示すために用いた言葉である。自らの飢えや渇きを満足させるために、他者や環境に全面的に依存しなければならない状態を指す。

欲動

1.欲動(drive)とは フロイトに定義された精神分析的な概念。「心的なものと身体的なものとの間の境界概念」などといわれ、「精神生活に表現される身体的な欲求」とされている。「本能」と訳されることもあるが、生物学的な本能の心理学的な欲求の形での表…

家族ロマンス

1.家族ロマンスとは 本当は「自分は捨て子だった。」、「自分の両親は本当の両親ではなく、自分は高貴な生まれだった。」といった両親との間柄について抱く空想について、フロイトが名付けた呼び名。フロイトは、ランクの「神話と英雄の誕生」(1909)の中…

アクティングイン

1.アクティングインとは 精神分析の治療場面で生じる行動化のこと。言葉の交流が行われているように見えても、実際は内的な対象関係が実演されている状態を指す。転移状況で惹起され、抵抗としての側面と関わりとしての側面がある。レニックは、アクティン…

リビドー

1.リビドーとは リビドーは、フロイトが用いた性的エネルギーの概念である。人間に生得的に備わった本能エネルギーで、発達とともに成熟する。フロイトの幼児性欲論によると、リビドー発達は口唇期、肛門期、エディプス期、性器期へと発展するが、それぞれ…

精神分析の性格類型

1.精神分析の性格類型とは 2.口唇性格 アブラハムによって明らかにされた性格で、口唇期への固着が強く、口唇に発する特徴的な性格傾向のこと。依存的で、愛情欲求を抱き他者からの愛情を手に入れるためには喜んで自分自身を犠牲にする。あるいは、愛して…

精神病

1.精神病とは 精神病とは、精神障害のうち、より重症の精神症状や行動障害を呈する一群の総称である。より軽症の精神障害とされる神経症の対照として用いられることが多い。とはいえ、神経症と同様に精神病も曖昧な概念であるため、限定的に使われている。 …

精神障害

1.精神障害とは 精神障害とは、精神病を含めて、平均からある程度偏った精神状態の全てを包括する上位概念である。ただし、その輪郭は漠然としており、諸国あるいは学派によって異なった内容を持つ。 2.精神障害に特徴的な症状 (1)欠陥 身体機能や精神機…

摂食障害

1.摂食障害とは 摂食障害とは、特定の精神障害に起因せず、食行動の異常をきたす障害の総称である。不食による痩せを特徴とする①神経性無食欲症と、むちゃ食いを特徴とする②神経性過食症に大別される。「anorexia=食欲がない」というのは、言葉の持つ本来の…

精神病質

1.精神病質とは 背徳症や変質者の概念などに由来し、コッホの精神病様底格の概念を経て成立した。意味内容は歴史や学派によっても異なるが、①精神病と正常の中間状態や、②精神病や神経症の病前性格とするもの、③病気とは無関係で、人格が正常から逸脱した状…

性格と人格

1.性格 characterはもともとギリシャ語の「刻み込まれたもの」、「彫り込まれたもの」に由来し、特質、特性といった意味がある。人格(personality)と性格(character)を同義に用いることもあるが、人格の感情・意思に限るものと、道徳的な価値判断を含む…

葦原将軍

1.葦原将軍とは 本名、葦原金治郎(あしはらきんじろう、1850~1937) 明治時代から昭和初期にかけて有名だった「狂人」の代表的人物。金沢県に生まれ、明治維新後に江戸に出て、本人は埼玉県深谷の櫛屋に引き取られた。24 歳頃に血統妄想や誇大妄想様な発…

思考

1.思考とは …。 2.様々な思考障害 (1)思考障害 …。 (2)思考錯乱 思考過程に連続性と統一性が欠け、全体としてまとまりがないものを支離滅裂といい、意識混濁があって支離滅裂が生じている場合を思考錯乱という。症状精神病に見られる思考過程の異常で…

修正感情体験

1.修正感情体験とは ポジティブなものを供給する治療者のこころに患者が触れることで、その患者が持っていた、こころの中のネガティブな人間観がポジティブなものに変わることを目指すこと。

逆転移

1.逆転移とは クライエントが転移を起こすのとちょうど同じように、治療者は逆転移を起こす。治療者もクライエントも、無意識のうちに相手を過去の誰かとして経験することになる。

反復強迫

1.反復強迫とは フロイトは死の本能を説明するため、有機物である生物が原点である無機物に戻ろうとする傾向のあることを指摘し、その際に反復強迫という言葉を用いた。反復強迫は、早期状態へと戻ろうとする生来の心的な傾向を表し、幼い頃に理解できなか…

抵抗

1.抵抗とは 抵抗は、洞察と変化をもたらそうとする治療者の関わりに反して、そのままの状態を保ちたいという患者の願望にかかわっている。意識的・無意識的であり、共通して怒り、罪悪感、憎しみ、愛、羨望、恥、悲哀、不安など、不快な感情を避けるための…

転移

1.転移とは 転移とは、本来は過去の特に子ども時代に重要な人物、両親などに対して体験した感情、思考、行動、態度を今の人間関係のある人物に置き換えることである。それゆえ、今の対象(相手)にとっては、不合理な内容の感情、思考、行動、態度といえる…

退行

1.退行とは ある時点において、それまでに発達した状態や機能あるいは体制が、それ以前のより低次の状態や機能ないし体制に逆戻りすることをいう。大人が子どもになる。