臨床心理学にいる

臨床心理学や犯罪心理学についてのあれこれ

アニミズム


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1.アニミズム

宗教の最も原始的な形で、木や草や水や山、岩などの自然や動物の中にも人間と同じように精霊や霊魂が宿っているという考え方。森羅万象すべての事物に霊が宿り、それらを崇拝するという思想は、未開拓民族だけでなく現在の人の意識の中にも存在する。日本人の基本的宗教観の根源にある神道も、アニミズムといえる。

なお、ピアジェはアニミズムを自己中心性によるものと考えた。アニミズム的傾向は、4段階を経て解消されることが明らかにされている。

・第1段階(4〜6歳):動くものすべて
・第2段階(6〜8歳):動くもの
・第3段階(8〜10歳):自分で動くもの
・第4段階(11歳頃〜):動物(植物)など

大人はいつまでも八百万の神が本当にいるとは思わない、といえよう。


犬神憑きとキツネ憑き


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1.犬神憑き

西日本の特に四国地方に見られた現象。犬神筋または犬神持と呼ばれる特定の家系の人が、犬神という小動物を駆使して害を与えると信じられていた。取り憑かれると急激に人格が転換し、二重人格を呈することになる。第二人格は犬神筋の人とそっくりな振る舞いをするのが特徴で、数時間から3〜4日程度で健忘を残して完全に回復する。

山村の閉鎖的な人間関係を背景に、犬神筋の家系と村人との間の争いや慢性的な葛藤状態などが(心因)発症契機とされる。宮本忠雄は、日本語の構造そのものや日本人の他者と融合して自我感を薄めていく傾向が、憑依体験と親和性を持つからと指摘している。

2.キツネ憑き

キツネの霊が人間の身体に憑依するという民族信仰を基盤にした動物憑依の代表的な現象。キツネ憑きの典型は、人格変容を示し、あたかもキツネのような言動を示すことにある。疎外意識と関連した被害妄想、憑依妄想、体感幻覚、幻聴などが見られる。人に憑くキツネの多くは、家筋(キツネ持ち)や特定の行者(イヅナ使いなど)によって飼育された特殊なキツネとされ、婚姻によって伝播すると信じられていた。

キツネを憑けられる人と憑ける人、キツネ憑きを受け入れる村々の間には不幸と幸福をめぐる妬みや嫉み、恨みなどの葛藤や差別、村八分につながる病理が背景に存在するとされる。


アルコール依存症


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1.アルコール依存症

アルコールは、リラックスした気分や酩酊の心地よさ、人付き合いのツール、酒に伴う楽しい雰囲気などのために行われるが、いつしかそれが形骸化し、飲むことだけが目的になる。酒を飲まなければならないとの強迫観念に囚われ、不快なことや苦痛なことがあると過剰な飲酒に逃げ込もうとする。このままではまずいと薄々気づきながらも自分に嘘を付き、正当化するために飲酒を続けることになる。

アルコール依存症とは、飲酒に起因する健康問題や社会問題が、個人に積み重なった状態のことである。診断には通常ICD-10(分類コード:F10.2)が用いられる。以下の6項目のうち、通常、過去1年間のある期間に以下の3項目を満たす必要がある。

1.飲酒に対する渇望
2.飲酒のコントロールの喪失
3.離脱症状
4.耐性の増大
5.飲酒中心の生活
6.問題が起きているにもかかわらず飲酒する

臨床症状として重要なのは、飲酒行動の異常さである。コントロール障害とも表現され、その典型は常に飲み続ける。仮に長期間断酒したとしても、飲酒すればすぐにもとに戻ってしまう。

離脱症状は身体依存の証拠とされ、軽度から中等度の症状では、手足の震え、発汗、不眠、吐き気、嘔吐、下痢、心筋梗塞、不安等の自律神経系の症状や精神症状が見られる。重症になると、禁酒1日以内に離脱けいれん発作や飲酒2〜3日以内に振戦せん妄などが見られるようになる。

心理的な特徴は、嘘や過小評価が特徴で、否認や自己中心性が目立つことである。アルコール依存症を予測する典型的なパーソナリティはないものの、基本的には自我が脆弱でなかなか自尊心を保つことができず、飲酒によって多少なりとも自分を受け入れることができるようになる。そういう意味では、自尊心や感情調整、セルフケアの能力に問題があるといえよう。飲んでもやっていられないが、飲まなきゃもっとやっていられない。

2.アルコール関連障害

アルコール依存症は、下記の症状のもととなる。


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1.振戦せん妄
アルコールを中断して2〜3日後に離脱症状として生じる。1週間続き、深い睡眠を経て回復することが多い。全身の粗大な振戦が主症状で、発熱や発汗、頻脈などの自律神経症状が伴う。精神症状には、幻視、意識混濁、興奮、不安、せん妄などがある。

2.アルコールてんかん
ほとんどが大発作である。離脱のときに生じることが多い。

3.アルコール幻覚症
主症状は幻聴である。飲酒をやめるとなくなるが、長年続くこともある。

4.アルコール妄想症
慢性の妄想状態で、被害妄想が多い。

5.うつ状態
うつ状態が合併することがある。

6.嫉妬妄想
激しい病的な嫉妬が続く。

7.アルコール性コルサコフ症
長期間の大量飲酒によってコルサコフ症状をきたすことになる。振戦せん妄から移行することが多い。アルコール性の脳症であり、もう一歩進むとウェルニッケ脳症になる。